クリステル=アディール 19
翌日、フィンにアリス=スターシアさんを
学習室に呼び出してもらうように整えてもらった。
こんなに人を呼び出してばかりで、
授業にでていないんじゃないかと思われるけど、
成績優秀で学年一位である。
学年一位の特権で、好きな授業だけ出席できる権利を
もらえたのです。
前世の知識で、計算などはバッチリだし
ずっと家で家庭教師がついていたので、
ダンスやマナーも先生のお墨付き。
ただ、この国の歴史や生物学、天文学は、詳しくなかったため、その授業を中心にでている。
ちなみに、フィンも学年二位。
学年三位までその特権が行使される。
「フィンも、私につきあわなくても好きなことしていいのよ。」
「一人にしておいたら、なにか騒動が起きそうで…」
っと頭をかかえられた。
失礼しちゃうわ。2人で学習室で時間まで待つことにした。
「さて、そろそろくる頃かしら?」
丁度、コンコンというノックの音が聞こえた。
現れたのは、小さい可愛らしい女の子だった。
エリーとは真逆で、
触れたら折れそうな繊細そうな雰囲気をした子だった。
「同じクラスのアリス=スターシアです。アリスとお呼びください。」
「クリステル=アディールです。今日は来てくれてありがとう。」
3人は、学習室の椅子に座った。
スミス=ゲイン様の時も感じたけど、
目の前のアリス様から魔力の歪みを少し感じた。
「聞きたいのは魔力の器のことでしょう?スミス様から伺いました。」
「教えていただけるんですか?」
「スミス様がいってらしたように、魔力についてお話しするには、制約されているためすべては話せません。ただ、制約に触れない所までお話ししましょう。」
私は、頷いた。
「私には、慕っていた方がいました。1つ年上の兄のような存在でした。その方には、婚約者がいました。2人はお似合いだったし、わたしは密かに思っているだけで幸せでした。決して邪魔しようだなんて思っていませんでした。しかし、お父様にその心を知られてしまったのが始まりでした。お父様は、私に訓練をさせました。」
「訓練とは、魔力の器の拡張…?」
アリス様は、頷いた。
「器を無理に広げようとすると、ある代償が伴います。そのせいで、わたしは…」
「代償とはなんですか?」
アリス様は首を振った。
おそらく、それは制約に触れてしまうのだろう。
ギリギリまで話していただいているからか、
アリス様の魔力が先ほどよりも、歪んでいる気がした。
「私は、スミス様に出会ったおかげで救われました。逆に、エリザベス様のように傷ついた方もおります。魔力の器なんて…家格なんて関係なく、好きなら好きで良かったのにと思います。努力した分だけ、魔力は増えますが、最初に思ってた願いは…失ったものは、もうもどりません…スミス様との、二度目の恋は慰めなのかもしれませんけど、もうエリザベス様には、譲れないんです。」
決意に満ちた目で、真っ直ぐにクリステルをみつめた。
そんな彼女に私達は、なにもいえなかった…
「お話ししていただき、ありがとうございます。」
アリス様は一礼して、学習室をでていった。
結局、代償とはなんだろう。
何を失うんだろう。
「僕には、なんとなくわかるな。僕も恋をしているからね。」
フィンは、考える私を横目で見てウインクをした。
「エリーには、なんて言ったほうがいいかな…」
「魔力の器はなしにして、話したほうがいいね。」
クリステルは、頷いた。
結局本当の真実は、なにもわかっていないけど、
アリス様とスミス様の間には愛情というか
信頼で結ばれているような気がした。
それからエリーには、
アリス様が心からスミス様を慕っていると、
本題をさけながら話をした。
エリーも、なんとなく察してくれたのか
ありがとうございます。っと
一粒だけ雫を流してから、
吹っ切れたような笑顔を見せてくれた。
「それにしても、こんなに親しみやすい方だとは思わなかったです。最初は、エメラルダの娘と言われるほどの美しい女性でしたので、本当は声をかけるのも、おこがましいことかと思ってしまいました。」
「エメラルダの娘なんて、言われると、すごい恥ずかしいわ。家からあまり出たことない世間しらずなの。あの…エリー、その今回の件でなにも力になれなかったんだけど…友達でいてくれる?」
もじもじしてしまった私に、
エリーは優しく笑いかけてくれた。
「もちろんですよ。クリス。」




