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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
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クリステル=アディール 18

放課後、騎士科にフィンと2人で訪ねた。

相変わらず、本塔とはちがう雰囲気に慣れそうにない。


騎士科の教室を見にいこうとすると、フィンに声をかけられた。

「クリス、そっちはいないよ。スミス=ゲインを、騎士科の学習室に呼び出してあるよ。約束しないと、放課後だから帰宅してしまうかもしれないだろ。」

当然の顔をして、フィンは学習室まで案内してくれた。


学習室を訪ねると、男性がソファーにもたれて座っていた。

「お待たせいたしました。クリステル=アディールと申します。スミス=ゲイン様ですね?」

「はい。今日は、エリザベスのことでお話しがあると伺いました。」


私とフィンは、スミス=ゲイン様の前にあるソファーに座った。

フィンをみると、私に頷いてくれた。

今日は、私に全部任せてくれるみたい。


「あなたとエリーが、なぜ婚約破棄することになったのかを伺いたいんです。エリーはこのままだと、あなたのことが整理しきれてなくて前に進めないと思うんです。どうか教えていただけませんか?」


スミス=ゲイン様は、ためらった様子で語り出した。


「エリーと呼ぶクリステル様は、エリザベスの友達なのですね…。いいでしょう、お話しし ます。僕とエリザベスは、小さい頃に婚約しました。ただ、家格が僕よりもエリザベスのが上でしたので、なんとか釣り合いがとれるようにと、僕自身の能力を高めようとしました。」


「能力とは…?」


「魔力ですよ。魔力の器を広げて魔力量を高めるのです。魔力が多いほど将来、重要な役職につけますから。器を広げるのはとてもつらい作業でしたが、がんばって耐えることができました。ただ、その後に…エリザベスではなく違う女性に恋してしまったんです。」


ん?どういうことだろう。

エリーのためにがんばってたのに、違う人を好きになる理由が分からないんですけど。


「彼女は、アリス=スターシアといいます。彼女は、僕と同様に魔力の器を広げる訓練をしていました。エリザベスのことは、いまでも大切な幼なじみとして思っていますが、アリスを愛してしまったんです。」


「訓練ってなんですか?」


訓練して、エリーの為に魔力の器をがんばって広げたのに、

他の女性を好きになるっておかしくありません?


って続いて言いたかったのに、

途中でフィンに口を抑えられた。


「すみません。魔力の器を広げる方法は、制約によって言うことができないんですよ。」


エリザベスによろしくお伝えください。

そういってこの会は、お開きになった。


納得できない私はフィンに詰め寄った。

「まったく、理解できなかったんだけど。なんで他の女性を好きになるのかしら?」

「魔力関係は、話せない制約が多いんだよ。なので、聞いても話せないから具体的なことはわからないことが多い。」


「そうなのね…こうなったら相手の女性にも聞いてみたいわ。」

「それだったら、僕らと同じクラスだよ。アリス=スターシアは、家格的にはエリザベス様よりも上になるね。スミス=ゲインは、器を広げたぶん、アリス=スターシアのように、上の家格まで釣り合いがとれるようになったのかもね。」


家格が上だから、乗り換えたのかしら…

そんな理由じゃ、エリーが可哀想だわ。


でも、スミス=ゲイン様のエリーのことを口にした時、

柔らかな雰囲気を感じたわ。


なんだか、全然わからないけど…

絶対に、原因を探ってやるんだから!


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