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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
20/74

クリステル=アディール 17

「あ、あの…」

後ろから声をかけてきたのは、同じクラスの女の子だった。


「わたくし、エリザベス=ゴーダといいます。いま、婚約破棄について話をしていましたか?」


ショートカットのボーイッシュな、かっこいい女の子だった。


「ええ、どうかしたの?」


「教室では、ちょっと…」

「では、学習室を借りましょう。フィンを一緒に同席させてもよろしいかしら?」

エリザベスさんに了承いただき、私達は学習室へと向かった。


★☆★


学習室は個室のため、外からの音はあまり聞こえない。

本来は勉強に集中するためだが、

秘密の相談にぴったりな教室なのだ。


「私、つい先日婚約破棄されてしまったんです。先ほど、異常に婚約破棄の件数が多いと耳に入りました。なにか知ってらしたら、教えていただけますか。」

私はフィンと、目を見合わせた。


理由は分からないが、統計資料をみて

私が感じたものだと伝えると、

エリザベスさんは目から大粒の雫が流れた。


「彼とは、小さい頃から結婚しようねって約束をしていたんです。家格が私の家のが高いけれど、彼は釣り合いがとれるようにするといってがんばっていらしたのに…」


なぜ、エリザベスさんの彼は、急に心変わりしたのだろうか…

泣いているエリザベスさんを見て、すごく胸が痛くなった。

なんにしても、彼女の立場からしたら

彼が婚約破棄した理由を知りたいわよね。


でないと、心の整理がつかないはず…!


「わかりました。」

「え、クリス?どうしたの?」

「わたし、エリザベスさんの彼に直接きいてみます!」


エリザベスとフィンは、クリステルの発言に驚いた。

「そんな、申し訳ないです。クリステル様は、私などよりも高貴な御方ですし…」

「そんな遠慮しないで。学園にいるうちは、対等な友達よ。クリステル様なんてやめて、気軽にクリスって呼んでちょうだい。」

「クリスさん…ありがとうございます。でしたら、私のことも、エリーと呼んでください。」


そういって、私とエリーは友達になった。

よく考えたら、学園に入学してから

フィンとしか話してないわね。

前世と違ってグループ活動とかないから、

他の子達と接点がないのよね…


実家が、過保護なものだから

幼少期にお出掛けやパーティーすら行ったことないし…


もしかして、エリーが初めての友達になるのかしら!?

嬉しいわ!

俄然に力になってあげようという気持ちが沸いてきた。


「ところで、彼のお名前聞いてもよい?」

「騎士科のスミス=ゲインです。」

「クリス、騎士科に行く時は僕も誘ってね。さすがに女性が独りで訪ねるのは、誤解されかねないからね。」

わかってますってと言うと、フィンに疑わしい目をむけられた。


そして放課後に、騎士科に訪ねる約束をさせられたのだった。


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