クリステル=アディール 11
お父様から、未開拓地へ同行することを
許可していただいたので、その旨を報告するため
研究所分室を訪ねた。
同行する代わりに、
半年後には殿下と婚約することを約束させられたけどね。
研究所の中に入ろうとドアを開けると、
目の前に男性が立っていた。
誰かしら…
「こんにちは。」
後ろから声をかけると、振り返ったその男性は
前にとても失礼なことを言われた
ライアー=レイモンドだった。
「あなた…!ここで何をしてるの?」
「こんにちは。ほらな、また会うって言っただろ。」
ライアー=レイモンドは、にこっと私にむけて笑いかけた。
それを見たメレイカ様はびっくりしたようだ。
「あれ、クリステル様とライアー君は知り合いなの?」
「いいえ、知り合いじゃありません。私、この人に失礼なことを言われたんです。」
「前に、学園内で魔法を使用した形跡があったので、見回りしたら、そこにアディール家のお嬢様がいたんですよ。」
「怪しまれるようなことは、言わないでほしいわ。だいたい、あなたはなぜこんなとこにいるんですか?ここは、研究所ですよ。騎士科の生徒には、どんな用があるんですか。」
ライアーは、クリステルに冷たい目を向けた。
「雇われたんだよ。未開拓地へ行くだろ?お嬢様とは違って、平民の俺が学園に通うには金がいるんだ。」
お金って?学園って義務教育のようなものでないの?
きょとんとした私に、ダスト様が説明してくれた。
「ライアー君は、今度の未開拓地への護衛としてこちらで雇いました。彼は騎士科で腕がいいと有名ですからね。学園内の警備もしていただいてますし。研究所は、平民の方を優先して雇用しています。」
雇用のことは、
事前にフィンが言っていたのを忘れてしまっていた。
いや、聞いてなかったかも…
前世では、未就学児は国がお金をだしてくれたり、
奨学金制度とかあったはず…
今度、お父様に提案してみよう。
「レイモンド様、今度みんなが苦労なく学園に通うことができるように、宰相である父に相談してみますわ。」
3人がぎょっとして、クリステルをみた。
「クリステル様、何をする気ですか?またおおごとな感じですか?」
「いえ、ただ学園に通えるように、国からお金をだしたらどうかと…知識は、国を豊かにしますからお金を出したぶんだけ、見返りが大きいと思いまして…」
クリステルの意見を聞いたライアーは、
先ほどの冷たい目ではなく、優しい目に変わっていた。
「レイモンド様?」
「ライアーでいい。貴族が面白いこというんだな。俺みたいに苦労するやつを減らしてくれると助かる。実現したら、誉めてやる。」
な、なによ~上から目線てきな…
実現できないだろうって顔をしているし、
絶対やってやるんだから!
「ところで、メレイカ様、未開拓地について情報をくれますか?」
まってましたとばかりに、メレイカ様は地図を机の上に広げた。




