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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
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ロバート=アディール(アディール家当主、宰相)

「想定外だったなロバート。クリステル嬢は殿下とすんなり婚約するかと思っていたが。」

「はい、大変申し訳なく…」

「半年猶予をやるからどうにかしろ。これは王命とするぞ。」

「はい…」


ロバート=アディールは、想定外の展開により困惑していた。

最初にナターシャを殿下の婚約者にしたのは、次女のクリステルを守るためだった。


ナターシャとクリステルは異母姉妹である。

母親の貴族位は、クリステルのが上であったため

クリステルが殿下の婚約者とするはずが、

まだ幼いということもあり周囲に反対されてしまった。

殿下と他の貴族の娘を婚約者にしないためにも、

ナターシャを仮の婚約者とした。

そのため、殿下には月に1度アディール家にきていただき、

ナターシャに会う口実で

まだ小さいクリステルの話相手になっていただいた。

親の目からしても、殿下とクリステルはお似合いであった。


ただ、ナターシャにとってはどうだったろうか…

ナターシャには、事前にクリステルが13歳になったら

殿下と婚約解消することは話してあったが、

こちらの思惑とは別にナターシャは殿下のことを

心よく思ってしまっていたのだろう…


殿下の隣に立てるように慣れば、

本当の婚約者になれると希望をもってしまったのだろうか、

無茶をするようになってしまった。


13歳になったナターシャは、

殿下と共にマルセイユ学園へ入学した。

ナターシャは、学生の代表として生徒会の副会長を努めた。


王家は、一般の貴族よりも魔力量が膨大にある。

その魔力量と均衡をとるために、王家に嫁ぐ女性は、

魔力量を増やす訓練をしなければならない。


ナターシャは、一般の貴族よりも魔力量が劣っていた。

その身にある魔力の器が小さいからだ。

魔力の器を拡張するためには、他者の魔力をもらいうけて、

その魔力でむりやりに器を広げるしかない。

ナターシャは器を広げることに成功したが、

無理に魔力の器を拡張すると、ある代償が伴う。

つまり、ナターシャもそれに該当した。


その代償をきっかけに、ナターシャは殿下との婚約を解消した。


幸い、クリステルと殿下が思い合っていたのはわかっていたし、

クリステルの魔力量も問題ないため、

当初の計画どおりと思っていたが…


婚約解消をきっかけに、クリステルは変わってしまった。

ときおり見せる表情は、別の人間のようにも思えるほどだった。


「さて、クリステルとナターシャに王命がでたことを話さないとな…」


2人の娘のことを思い、

ロバート=アディールは今日もため息をついた。


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