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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
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イリヤ=アーベン(王太子付き護衛兼側近)

イリヤ=アーベンは、13歳のときにウェールズ殿下の護衛兼側近として、お役目をさずかった。


殿下の王太子教育は、3歳から始まったが

文句も泣き言も言わない、子供らしくない子供だった。

王様も王妃様も、忙しい御身のため、あまりかまって貰えない環境もあっただろうが、王太子という肩書きからか誰もが壁を隔てて接していたからだと思う。

もちろん、俺もそのひとりだ。


そんな、殿下が変わったのは

アディール家との婚約話が持ち上がり

アディール家を訪問した時からだ。

クリステル様と出会われて殿下は人間らしく変わっていった。


ナターシャ様と仲を深めることよりも

クリステル様との仲が年を追うごとに深まっていったと思う。


殿下は、クリステル様のお願いには

否とは言わずいつも叶えようとしていた。


「イリヤ、パリパリの皮につつまれたりんごのようなお菓子を知っているか?」

クリステル様が5歳の時されたお願いに

殿下は頭を悩ませていた。


「パリパリの皮とはなんでしょうね…王家の料理人に聞いてみましょう。」


結局、料理人にもわからず

殿下は根気よくクリステル様にどんな味なのか、

どんな形なのか紙に絵を書かせたりして、 

なんとか王家の料理人に作らせたが…


「しなもんがたりない」

と言われた。しなもんとはなんだったのだろう…


6歳のときは、

クリスが水たまりで転んでしまい

頭からつま先までびしょびしょになってしまったときがあった。

「かぜをびゅーっとするのがほしいです。」

と言われれば、髪や服を乾かすために

殿下は風魔法を調節して乾かしてあげた。


自然乾燥していた現代だったため

これは、便利で使えるぞ!っと思い、

後日、風の魔法石で、自由に風がだせる魔法道具を作成した。

これは、貴族から平民まで人気商品となり、

かなり稼がせてもらった…

もちろん、稼いだお金は懐に入れず殿下の言うまま、

孤児院に寄付させていただいた…


その後もお願いは続き、

食べ物を長期保管できるように氷の魔法石を使用したものや

炎の魔法石と雷の魔法石で、回路を作ることで

人工的な灯りも作ることができた。


そのお願いのおかげで民の生活が豊かになり、

雇用が増え、

クリステル様のおかげで国が発展しつづけた。


その影で1度だけクリステル様は、10歳の時に誘拐された。

庭先で隠れんぼをしていたら

そのままクリステル様はいなくなってしまった。


犯人は庭師に扮した、他国の仕業であることがすぐ判明し、

国境を超える前に助け出すことができた。


その時の殿下は、クリステル様の魔力を察知して

居場所をつきとめ、自ら助け出したのだ。

まず、魔力を察知するには、自分の魔力を外側に出す。 魔力同士のぶつかり合いでその魔力が誰のものなのかを

鑑定しなければならないのだが、見事殿下やってのけた。

助け出されたクリステル様は、

その時から殿下への態度が変わったように見えたが…


なんにせよ、殿下は愛する人を決められた。

そのお人が、王太子妃になれるように、俺は動くだけだ。


イリヤ=アーベンは、

殿下の婚約のために、さっそうと学園へ向かった。


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