表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
18/21

閑話4 4月24日 16:24 美笠高等学校 格技場

PV数999人到達記念!!

2日連続投稿!!

そして2日連続寳野さん視点です!!


「(い、痛ーい……。)」


 両腕を抱きしめられたので身動きが取れずそのまま後頭部からダイブしてしまった。


「……ふぅ。」

「(え?あ、逢河君?)」


 頼りなさ気な少年、逢河耀家が覆いかぶさっていた。

 こんなに弱い奴が、どうして?


「な、何するの……。」

「え……いや。刺されそうだったから……危ないと思って。」

「……今思いっきり後頭部ぶつけたんだけど?」

「え、あ。ごめん!!」


 オドオドして、試合化椅子の合図も噛んでしまう少年だがナイフを持って襲い掛かる男から庇う勇気があったことに少し見直した。


「それより……これからどうするの?」

「………。」


 すると逢河君は少し考え、バツの悪そうな顔をして、


「どうしよう……。これからどうするか考えてなかった。」

「アンタ馬鹿?馬鹿なの?」

「返す言葉もございません。」


 思わず叫んだ私。

 前言撤回!考えなしの馬鹿だった!


 そうこうしている間に一歩また一歩と私達の距離を詰めている。


「動きなさいよちょっと!!」

「ごめん……ちっと腰がその……ね?」

「ばかぁぁぁ!!」


 このヘタレときたら絞り出すように呟いた。

 ついでにね?じゃないわよアホー!!と心の中で叫んだ。


「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。」


 思わず背筋が凍りそうな声を出しながらゆっくりと近づいてくる。


「ちょっと、何抱きしめてるのよ!とっとと離れなさいとアンタが……アンタが死ぬわよ!!」

「嫌だ!」


 そして私達のすぐそばまで近づいた太加は私達をナイフで突き刺そうと右手を思いっきり。引いた


「「………!!」」


 そして、ナイフが風を切る音と……肉が切れる音がした。




「……え?」

「な、何?」


 しかし、その音は私からではない。逢河君からでもない。

 怪訝に思った私はその方に顔を向けると、


「見下げたクソだな。お前達は。そして逢河。ナイスだ。」


 かなえさんが私達の前に立ちナイフを掌で受け止めていた。


「ちょ、ちょっと……。」

「か、鼎……君。」

「どうした?何をうろたえている?」

「あ………え?」


「(……おいおい……。)」


 私はもう呆れて何も言えないでいた。

 

 この状況でうろたえる人間がいるか?等と質問されれば誰もがこう答えるだろう。

 もちろん、うろたえるに決まっている。と。

 刺された人間が刺した人間を気遣っているという明らかに異様な光景に誰も何も言えないでいた。


「あ、あ、……あ…………。」

「さて、相変わらずのようだな『ニーダー・マヘン』の副リーダー。ああ、いや。元がつくのだったか?」

「へ……。」


 ニーダー・マヘン。100人規模の割と有名だったギャングの名前だ。こいつらはその残党という事なのか?

しかし、ニーダー・マヘンは確か――あ。

 その瞬間私は思い出した。かなえと言う名前を。


「あ、あ、あ………………。」

「ボ、ボス……。」

「どうした……?」


 どうやら、それは向こうも思い出したらしい。あの慌てふためいている様子を見れば一目瞭然だ。


「ま……まさか……か、鼎!!何故貴様がここに!!!」


 場の空気が変わる。

 かなえ。

 逢河君はその名前の聞いてもポカンとしている。

 当然だ。彼のような一般人ではその名前を聞くことなど皆無だ。

 しかしこの街の闇を知っている人間にとってその名前はある種の《災厄》だ。


「か、鼎だと!!!」

「あ、あの……『怪物』。」

「ま、マジかよ……。あの『アヴェスタ』を……。」

「お、『鏖殺魔(おうさつま)』!!生きていやがったのか?」

「まさか女だったとは……!」


 『鏖殺魔』。先程も言ったがその名前は私が所属する《守護職》の方でも有名な話だ。

 白帆市の都市伝説である『睦美彼方(むつみかなた)』、『十六面(じゅうろくせん)』に並ぶ、最悪級の暴徒。

 圧倒的な力と持って数々のギャングを殲滅した魔人(殺人はしていない)。

 しかし名前以外を知る者はいない。

 その行き過ぎた行動に対し《守護職》の方でもいろいろ動いたそうだが結果は芳しくなかったそうだ。

そんな生きる伝説、いや災厄が目の前にいる。


「お前らなど殴るに値しない。俺に攻撃を向けられなければ誰が殴られようが蹴られようがそれは俺の知った事ではない。」


 特に死にたがりはな。とか細い声でボソッと呟いた。恐らくそれは私のことを言っているのだろう。だから私を助けなかったのだろう。


「だが。」 


 ここで言葉を切る。そして一呼吸してから続く。


「貴様達は俺の友人に手を出した。」


ここで口調がガラリと変わった。

淡々としたものから一変、一言一言。先程の太加とは比べ物にならないほどの怨嗟を込めて紡ぐ。

 静かだが荒々しい。嵐の予兆そのものだ。


「それを黙ってみているほど俺は愚かではないぞ?」


 彼の纏う空気が変わる。嵐が、来たのだ。

 その瞬間、世界を乱雲が覆うように視界が黒く染まった。と、私はそう感じた。

 それが恐怖による視野狭窄という仮説に至ったのは少し後の話だ。


「……………………ゴクッ。」


 逢河君が唾を飲み込む音がここまで聞こえてくる。

 こう言った荒事には素人同然の逢河君にとってこれは中々に刺激が強かったらしい。


「『鏖殺魔』って……アンタたちの最終兵器ってホントとんでもない女性だったみたいね。」


 しかしなぜだろうか?たった今言った自分の発言に強烈な違和感を感じてしまうのは気のせいかしら?


「さてクソ共……覚悟はいいだろうな?」

「くっ。落ち着けええええ!!コイツは絶対に鼎の名を騙る偽者だ!!!野郎共、出合え出合え!!!」


 しかし、聯とほぼ互角の実力を持つかなえさんに聯で圧倒される腐れ共に勝てる道理などあるはずがなく。


「ぎゃふん!!」


 最後の1人……太加も一撃で沈み勝敗は完全に決した。

 それにしても……利き腕が使えない状態でなおあの強さ。《守護職》が警戒をするのも無理はない。

 持久戦になると聯は負けてしまうかもしれない。


「あ、あっさり……。」

「なんだか馬鹿らしくなってくるわね。こんな奴等に良いようにされたことが。」


 それにしても……ギャフンなんて台詞。生まれて初めて聞いた。

 って違う。今はそんな話している場合じゃない!


「ちょっと……重いから早くどいて。」

「え?あ!うわわっ!ごめん!」


 右手で逢河君を払うと払った右手に血がついているのに気付いた。

 その血は逢河君の左手から垂れているのに5秒もかかってしまった。 


「って左手!!怪我してるじゃない!!」

「あ……ホントだ。多分あの人に斬られた時かも……。」


 はあ。と私は呆れた。


「ねえ……なんで庇ったの?」

「だって……殺されるつもりだったみたいだし……。」


 私は驚いた。直観的だろうと私の考えを理解した事にとにかく驚いた。


「じゃあいいじゃない。死ぬつもりだったんだからほっといても。」

「良くない。」


 顔を真顔にさせきっぱりと言い切った。


「………。」


 どこかのほほんとしてるくせに、何も知らないくせに、分かったような口を利く。

 少しムッとした私は口調を強めて押さえつけるように言った。


「いいの。私はそのために生きているの。『守るために死ね。守れなくば死ね。』そう言われて育ったんだから。」

「漣さんが言ったの?」

「え?」

「漣さんがそう言ったの?」

「………言ってない。でも。」

「じゃあ。漣さんはもしもの時は『死ね。』って命令するの?」

「………。」


 彼女が死ねと命令するのか?

 そんなもの決まっている。


「絶対にノーね。」


 伊達に物心ついた時からの付き合いじゃない。私が死にそうになれば聯は庇う。それは間違いないだろう。迷惑な話ではあるが。

 そしてだから守りたいと思ってしまうのだ。私は。


「だったら生きなきゃ。それが漣さんが望んでるんだから。護衛だったら主君の幸せを優先しなくっちゃ。」

「……そうね。」


 確かにそうだ。いや、分かっているんだがなかなか変えられない。

 そして初めて会った奴にそんな事言われるのは……結構悔しい。

 聯の事も考えないと………って、しまった!! 聯を助けないと!


「それより、早くどいて!!」

「あ、ごめん。」


 そう言って立ち上がろうとするとバランスを崩してまた倒れこんでくる。

 そして、体勢を崩したのかそのまま顔を私の胸に……。


「わわっ。ごめん!ホントごめん!」

「………………。」


 ただ触ったわけではない。先程あの不良共によって、上着を脱がされている途中のままだ。

 今倒れこんだときになぜか最後の一番上のボタンが外れカッターシャツがめくれてしまい……そのブ、ブラジャーごしに……、

 すいません。これ以上言えません。御想像にお任せします。


「な、何か言う事は……?」


 爆発寸前の口調でそう言われた逢河君は少し顔を赤くさせ冷や汗を滝のように流しながら思案顔をした後、


「あ……、えっと……結構大きいね。ははは。」

「~~~っ!!この馬鹿!!」

「痛っ!!」


 ここで癇癪を起してもはたいても私を庇ってくれた恩人だとしても問題ないはず。

 ちなみに殴ったのではなくはたいたのだ。ここは重要。殴るのは明日だから。


「とっととどけ!変態!」

「痛いっ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」


 ……はあ、さっきの感動を返して欲しいわ全く。

 顔を真っ赤にさせながら言い訳をする逢河君を払い除けると(多分私の顏も真っ赤になっていただろう)、一直線に聯の所に向かった。

 そして倒れていた聯を抱えて揺らす。


「聯!大丈夫!聯!」

「……うっ。」


 呻き声を上げると双眸を開く。


「ゆ、……ゆな……ちゃん?けほっ、けほっ。」


 せき込みながらも私の声に反応したのを見てほっとした。


「ごめんね。ごめんね聯!」

「う、……ううん……。ゆなちゃんは悪くない。」


 しかし、聯は顔を上げずに言った。


「私……ちょっと思い上がってたんだ……。強くなって……どんな相手でも負けない!!なんて思い込んでたんだ。」

「聯……。」

「でも、そんなことは無かった。」


 震える声でポツリと言った。握りしめた手にポタリと滴か落ちてきた。


「私は弱かった。強くなったという幻想に囚われて周りの事なんて何も気にしちゃいなかった。だからこんなことになった。だから全部私のせい。」

「……聯……。」


 いつもの気だるげな声ではなく、上を目指す者の芯のこもった声でそう言った。


「ゆなちゃん。私は……もっと強くなる。」

「分かった。せいぜい期待させて貰うわ。」


 私は友人であり主である少女がまた一歩先に進んだのを感じた。



 

 

登場人物紹介 9

漣聯 Sazanami Ren

 誕生日:12/15 血液型:B クラス:1-8

 身長:162cm 体重:45kg

 好きな食べ物:納豆 嫌いな食べ物:肉類全般


 美笠高校1-8の生徒であり、寳野優名の親友であり一応主人(本人は手下とは思っていない。)

 実家である漣家は名家で武道だけでなく華道や茶道などの嗜みはもちろんあらゆる家事もプロを超えている完璧超人。

 またこの家はこの街しらほしを守る『守護職』を要する家。

 公立校である美笠高校にも大きな影響を及ぼしていたりする。

 また、日本人の父親とイギリス人の母親を持つハーフで金髪碧眼を持つ容姿端麗であるため『金碧姫(こんぺきひめ)』と呼ばれ、男子からの人気は非常に高い。

 ちなみにそんなあ彼女であるが想像を超える『欠点』を持っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ