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Disturbance High School  作者: 林 奎
第壱章 金碧姫の決闘 
19/21

閑話5 4月24日 16:31 美笠高等学校 格技場

PV数1000人到達記念!!

3日連続投稿!!

そして3日連続寳野さん視点です!!

 私達は聯を助けた。聯はまた1つ強くなった。

 しかし。私達を襲う嵐はまだ終わらない。




「ふ、ふ、ざ、けんなぁぁぁぁ!!俺は……おれはあきらめねええええええええええええええええ!!!」


 太加の付き人をしていた越後屋と呼ばれた男がどこか悪役じみた台詞を言い放って立ち上がる。

 何度打ちのめされようとも、それは何度でも立ち上がる。

 カッコイイ主人公が使うととてもカッコイイシーンなのに。

しょーもない三下が使うと本当にしょーもないシーンになる。

 私は頭の中で表現の無駄遣いに思わず嘆息してしまっていたのはここだけの話だ。


 とはいえもはやこの男はアクション映画で言う悪の組織の雑魚A以下の存在。警戒する必要などない。


「マズイわね……。」


 その手には拳銃が握られていなければ。


「やっぱり……。拳銃持ち込まれる日が来たか……。」


 驚きはしたが予想外の範囲外ではない。

 しかし今の聯だとかなり厳しい。


「『鏖殺魔』ぁ!!お前も動くな!!動いたらあの女を殺す!!」

「………。」


 頼みの綱であるかなえさんも迂闊に動けないらしい。

 だから私は咄嗟に聯を庇うために聯と拳銃男の間に立ち塞がる。

 幸運にもその時拳銃男と私と聯、そして格技場の入り口が一直線になっていた。これはチャンスだ。


「聯。今すぐ逃げなさい。」


 幸いにも聯の状態はそこまで深刻ではないようで足取りはたどたどしいながらもどうにか一人で歩けるようだ。

 しかしこんな状態でも心は何も変わっていない。


「で、でも……。」

「でもじゃない。正直今のアンタじゃ私にも勝てないでしょうが!」

「………!!」



「逃がすかよおっ!!」

「危ない!」

「逢河君!!来ないで!!」


 でも私は動かない。

 何か言いたげな逢河君には悪いがこれが私の生き方。どうこう言われたくない。


「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


 引き金に指を駆ける。




「ぎゃああああああああああああああ!!!」


 しかし銃声のかわりに響くのは悲鳴。そしてそれはたった今私達を射殺せんと引き金を引こうとしていた越後屋の悲鳴だった。

 その右手には深々と刺さった鍼……いやこれは……串。


「間一髪。と言った所でしたか。」


 串が飛んできた方に目を向けると、和服に割烹着と言う、大昔のお手伝いさんの出で立ちをした女性が佇んでいた。

 中々様になっていますが、足には草履ではなく軍用の空挺半長靴をつけていたりたすき掛けしているために露出している両腕には刺青が彫られていたりして普通には決して見えない人ですが。

 そしてその人は私と聯の知り合いだったりする。


「夢路さん!」

「ひうっ……。」


 漣家守護職筆頭夢路ともゑ。精鋭揃いの漣家の中でも名実共にNo.2の存在。

 そして、聯がただ一人頭の上がらない人物である。

 無論。私もだが。

 そんな事を考えているとこっちを向いてニコリと微笑み、


「漣の人間……《守護職》が決闘騒ぎを起こすとは……関心しませんね。」

「うっ……。」

「それは……。」


 文句は無用と言わんばかりに、夢路さんはさらに畳み掛ける。


「知ってますか?刑法には『決闘罪ニ関スル件』というものがありましてね。6ヶ月以上2年以下の懲役らしいですね。御嬢様。」

「ああ、そうそう。決闘立会人は1ヶ月以上1年以下の懲役らしいですね。優名さん?」

「は、はいっ!!」

「ちょ、懲役1年以下……知らなかった……(涙)。」

「……ってそっちが過剰反応してるし……。」


 顔を青くさせてガタガタ震えている逢河君を見ると少し可哀想になってくる。

 しかし、そんな彼を同情している余裕など今の私達に存在しないのだ。

 何故なら、ともゑさんの視線がこちらに向くやいなや、


「早速ですが2人共。今日はお仕置きです。」


 と言うことをおっしゃったのですから。


「「ひ、ひえぇぇぇぇぇっ。」」


 その言葉に体を震わせる私達。何しろ……今までのオシオキの恐怖だけがフラッシュバックしてきたもので。

 何故恐怖だけか?それはどんな事があったか覚えてないからです。覚えてない理由は察して下さい。


「ね、ねえ……鼎……さん。なんかまた人が出てきたんだけど……。」

「あの2人が体を震わせている……敵か?」


 完全空気になっている逢河君とかなえさんがひそひそと話し合っている。

 いや……この人は味方ですけど……でも敵と言うのも間違っていないんですよね。


「……寳野さん。何か?」

「いえ!何でもありません!」


 突然夢路さんがこっちを向いてそんな事を聞いてきた。

 危ない危ない。何しろこの人こちらの心の中を見透かすかのごとく言い当てるので迂闊に考えることもできない。

 かなえさんはさすがに夢路さんの実力を感じ取れたらしくすぐにとびかかるようなことは無かった。


「さて、それよりも……。」


 夢路さんが二人の方を向いた。逢河君は肩をビクッと震わせ、かなえさんは身構える。


「申し訳ありません。御嬢様を守ってくださってありがとうございます。」


 と、2人に丁寧なお辞儀をする。

 さすがは女中の鑑。動きひとつひとつがとても綺麗だ。


「あ、すいません……。この人達は……。」


 逢河君はこの男たちの対処に困っているようで。警察を呼ぼうか迷っているらしい。


「それはこちらで。申し訳ありませんが今日はお帰りください『鏖殺魔』とその御友人。お礼は後日で……。」


 確かに彼女の言うとおり警察の介入はよろしくない。

 何しろこっちも決闘行為を行っていていたり傷害事件を起こしていたりと叩けばバンバンホコリが出るのだ。できるだけ事態を公にしたくないのだろう。

 何より私達《守護職》とは縄張り争いをしているのだ。ここで奴等に弱みを見せつのは避けたい。

 

「で、でも……。」

「大丈夫です。と言うより手を出された方が面倒なので。入学早々退学にはなりたくありませんよね?」

「は…、はい………。」


 あっさりと引き下がった。怖かったのだろう。気持ちは分かる。


「お、お礼は結構ですから……。え、ええと……という事だから帰ろうかかなえ……さん。」


 そして扉がなくなった入口から、かなえさんは普通に、逢河君は若干ビクビクさせながら出て行った。


「……それにしても強かったですね。かなえさん。」


 嵐が去って安堵しながらそう言った。


「ええ。さすがは『鏖殺魔』と言ったところでしょう。」


 夢路さんもかなえさんのスペックにひたすら感心している。


「実際私がいなくても彼ならどうにでもできていたでしょうし。」

「え?そうなんですか?」

「ええ。あの男が構えた瞬間に強く踏み込んできました。照準を定めて引き金を引く間を狙って飛びかかるつもりだったんでしょう。」


 私は驚いた。拳銃を前にしてそこまで行動できるかなえさんに素直に驚いていた。


「それより寳野さん。」

「あ、はい!!」


「あなたの家の事情は大変良く存じています。ですから今までそう強く言いませんでした。」

「え?ええ?」

「ですが……『護衛の仕事は主人の為に死ぬのは目的ではなく手段。しかしそれは最悪の手段。主人を守るためには生きるほかないのだから。』……先代筆頭の御言葉です。」


 ともゑさんの言いたい事が分かった。そして少し気まずくなる。


「あなたの為に命を張った少年の言葉………よく覚えておきなさい。まあ、お嬢様が強いとはいえこんな決闘騒ぎを起こすのは護衛としてはいただけませんが。」

「……………。」

「あれ?もしかして寳野さん、顔赤くなってますか?」

「な、な、なってなませっ!!」


 ふふふと笑うともゑさんに何も言えない私。

 いたたまれない私は状況を打破すべく、聯に話を振ろうとする。


「っていうか聯。アンタ身体の方は大丈夫なの!!」

「…………………ぽっ。」

「え゛。」


 え?何?聯さん?あなたそんなキャラじゃなかったでしょ?


「ちょ、ちょっと……。どうしたのよ。」

「かなえ……さん……。」

「「………。」」


 え?ちょっと聯さん……?何顔を真っ赤にさせてるんですか?

 これって……アレ?初恋?

 しかも……女の子に……。


「………。」


 私はこれから大変な事態に巻き込まれることを信じて疑わなかった。

 そしてその杞憂が当たった事が分かったのは今から1時間くらい後の事だが、それは別の話。


「手が……俺の手がああああああ!」

「おやおや。右手にナイフを刺されて平然としていた子もいるのに何をおっしゃいますか?手が飛んでしまったわけじゃあるまいし。でしたら本当に飛んでしまっても良いんですが……ねえ?」

「ひ、ひいいいいいいいっ!!!」

「……アレは絶対に楽しんでるわね。」


 

 いつになくノリノリなドSメイド夢路さん。

 つまりはこの後に行われる『オシオキ』も絶好調なわけで……ふう。


「しょうがない。今日は大人しくオシオキを……はあ。」


 これから我が身に降りかかる惨劇に溜息をつかずにいられなかった。




 さて、事の顛末は私こと寳野優名が説明させていただこう。

 まずは学校の設備の事だが、今回の出来事で格技場は穴は空き、天井は壊れ、窓ガラスは全て粉砕。言うなれば格技場はボロボロ。授業で使えるようになるのに最低でも2か月はかかるらしい。


 襲撃をしたゲスな野郎共はもれなく全員四肢の関節を外し漣家の屋敷に連れ去った。その後で夢路さん曰く彼らを富豪の男色家に1ヶ月間引渡しその間食べるのに困らない生活を約束させるとのこと。

 ……いくらゲスとはいえ彼らの末路に若干の同情も禁じ得ない私だった。


 ちなみに私と聯はともゑさんの宣告通りきっちりとオシオキを受けた。その内容は…………。

 

 その内容は………。


 ……あれ?何をされたんだろう。記憶が。記憶が飛んでいる。と言うか震えが止まらない。


 …………………。


 ――人間、忘れた方がいい事もある。それを再認識した瞬間だった。




 

おまけ

「それより夢路さん……どうしてここの事を……?」

「ああ……。私のチョーカーに電話にかかってきまして、『ヴィーナスの命が危ない!美笠高校の格技場にいる』と言う事だったので急いでこっちに向かった次第ですよ。」

「……は、はあそうなの?で、誰なのそいつ。」


「情報屋さんですよ。私が懇意にしている『ハリヤマ』と言うね。」




 という訳で播磨屋君の活躍が書かせて戴きました。

 と言っても彼がやったのは夢路さんに救援を呼ぶという行動です。

 ……地味です。見せ場なしです。が彼が何もしていなかったわけではないということをわかっていただけただろうか?

 そして名前を憶えられていない彼に合掌。




次回予告!!

 次回はついに金碧姫編最終回!!

 PV数1029人突破記念の4日連続投稿を……やりません!!

 ですが27日までには必ず投稿します!!!!!

 ………多分。

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