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after19







真夏と呼べる季節が訪れた。

太陽はサンサンと照り付け、長時間外に居ると紫外線が皮膚を黒く焦がす。

唯はようやく体を起こす事が出来るようになった。

最初は体を起こすだけで目眩を引き起こしていたけれど、今ではそれもなくなった。

唯のリハビリは順調だったけど、一つだけ困った事があった。

この夏という季節、炎天下で放置されたままの食べ物が傷んでしまう問題。

冷蔵庫が使えればと思ったが、例え使えたとしても大量の物を保存なんて出来るはずもない。

小さなバッテリーと簡易冷蔵庫だけを僕はテントに運び、自分たちが使える分だけ確保する事にした。

レトルトや缶詰などでも陽射しの中に置いておくのは危険だし、剥き出しになっている飲料なども涼しそうな木陰へと移しておいた。

食べ物がなくなってしまったら、これから先どうして行けばいいか分からない。

今はこうして凌げているけれど、先の事を考えると僕は少しだけ不安になった。








あれから更に数日が経った。

唯は僕の手を借りてだけれど、ようやく立つ事が叶うようになった。

だけどまだ満足に歩けるものでもない。

泣き言一つも言わず、毎日唯は頑張っている。

早く僕の助けになりたいと、その言葉を支えに日々リハビリに明け暮れている。

その前向きな姿が僕にはたまらなく嬉しかったし、頑張る気力にもなった。

しかしこの時期問題が起きる。

台風だ。

強風に煽られ何度もテントが飛ばされた。

時に雨ざらしになり、時に雷に耳を塞ぐ。

せっかく運んできた布団なども、すぐに雨にやられて駄目になった。

唯が動ける体になったら、簡易なものでもいいから風に負けないようなちゃんとした住居を作らなければいけないと思った。








台風の波が去り、また蒸し暑い日々が戻ってきた。

人の居なくなった町だけれど、虫だけはまだ生きている。

蝉の鳴き声もうるさく、公園という場所のためか耳が痛くなった。

傷は付いているものの、未だ健在な木々もある。

地中に居た彼らは無事な者も多かったのだろう。

僕らは耳栓を着用して、その姿をお互いに見て笑った。

唯は膝をしっかりと曲げられるようになり、長時間立っていられるようにもなっていた。

僕の補助があれば少しは歩けるようにもなった。

凄く嬉しい。

もうすぐ唯は自分の足で歩けるようになるんだ。

ようやく唯から長時間目を離せる時間が作れてきたので、僕は新しい住居を作るために廃材などを集める。

同時に町の様子なども逐一チェックは欠かさなかったけど、やはり助けなど来る気配もなかった。

…これはこの国だけじゃなく、世界規模で起きた災厄なのだろうか?

こんな様で本当に生きていけるのだろうか…。

そんな不安が最近毎日僕を襲うようになっていた。








青空が眩しい。

雨が降らなくなり快晴が続いた。

多少は涼しい風も吹くようになった。

僕は毎日日課のように空を眺めている。

この惨事になってからというもの、毎日のように飛んでいた飛行機も一度も見かけてはいない。

それはこの町だけで起きた事件ではないという事を示唆している。

雲はただ空を漂い、人為的に作られる飛行機雲と呼べるものは久しく見ていなかった。

いつまでこの生活は続くのだろうか。

今は平気でもいずれは食料だって尽きる。

その日その日をまだ生きているだけで、未来に対する不安は募っていった。

唯は自分だけの力で歩けるようになり始めていた。

まだ走る事は出来ないが、補助なしでも数分は歩けるまでに回復。

僕はその事実を喜んだ。








僕は公園に廃材を掻き集めて組み立てた住居を作った。

木材やコンクリの壁などを流用してブロックのように積んだだけのもの。

建築の心得なんてない僕にはこれが精一杯だったけど、それでも何とか形にはなっていた。

雨風だけを満足に凌げればいい。

屋根の部分には瓦の代わりになるように、プラスチックの板を斜めに置いて釘を打ち付けた。

石で作った家は熱を持ち難いからか中は比較的涼しく過ごしやすい。

熱気が溜まるテントに比べれば格段に暑さからは身を守れる。

唯も涼しいと喜んだようで僕は安堵した。

けど食べ物もいい加減飽きてきた時期。

貯えはまだあるものの、同じレトルトばかりではこの暑さもあって喉を通らなくなってきた。

こんな有様では食べられるものも限定されるし、何か手立てを考えなければならない。

自給自足の生活。

昔の人たちは本当に凄かったんだなと肌に感じて思う。

唯も多少は歩けるようになった事でもあるし、この場から足を伸ばして他の場所を調べに行く事も視野に入れなければならなかった。

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