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after14


原付の後ろにロープを括り付ける。

しっかりと結び、解けないようにする。

正直な話、原付の馬力で動かせるのか不安だったけど、やってみないことには分からない。

僕はシートに跨ると、体勢を整えて一気にアクセルを噴かした。


ブオオオオオン!!


激しい唸りを上げてマフラーから排気ガスが放出される。

タイヤは周囲の瓦礫を撒き散らし、その場で高速回転する。

張り詰めたロープはギチギチとした音を鳴らす。


「く…これでも駄目か…?」


アクセルを噴かし続けてみるが、原付はその場から動く気配がない。

けれど後ろを振り返ると、若干石位置が動いているような気がした。

行けるかも。

そう感じた瞬間、願いが通じたようにタイヤが地面を噛んだ。


「う…動く!行けるぞ!」


足場に散らばった瓦礫を空回りしたタイヤが取り払ったせいか、余計な摩擦がなくなり力強くなる。

しっかりと地を噛んだタイヤは少ずつ前進し始めた。

僕は手に力を籠め、限界までアクセルを噴かし続ける。


「もう…一息…!!」


力一杯アクセルを捻る。

やがて壁となっていた岩は大きな地響きとともに大地に倒れた。


「やった…やったぞ!」


僕はエンジンを切る事も忘れ、すぐに唯の元に駆け寄った。

ぽっかりと空いた隙間。

そこにはベッドに横たわったままの唯の姿が見える。


「唯!良かった…」


「……と」


「喉渇いてるんだね?ちょっと待ってて」


再会の喜びに浸る暇もなく、僕は水の入ったペットボトルを唯の口にあてがった。


「ん…」


小さく喉を鳴らしながら水を飲み込んでいく。

動く事もままならない状態でずっとこうしていたんだ、相当渇いていたのだろう。

見る見るうちに容器の中は空になった。


「大丈夫かい?声…出せる?」


「うん…浩人、ありがとう」


「良かった…本当に唯に会えて。そして無事で…」


「…うん、待ってた。絶対…迎えに来てくれるって信じていたから」


唯は取り乱す事もなく、僕をずっと待ってくれていた。

こんな状況になって動く事すら出来ないで居たのに、僕を信じてくれていたんだ。

良かった…本当に。


「浩人…どうしたの?なんで…泣いてるの?」


「えっ?あれ…どうしたんだろ…」


唯に指摘されて始めて気が付いた。

気付けば僕は泣いていたらしい。

もう泣かないと決めていたはずなのに、なんでこんなに涙が溢れてくるんだ。

僕は汚れたままの袖で何度も涙を拭った。

それでも止まらない。

今は唯に逢えて嬉しいはずだってのに…。


「おかしいな…ごめん唯。僕…なんかおかしい…み…みたいだ」


「…浩人、悲しい…の?」


「そんな…こと…多分、逆…だよ」


きっと、張り詰めていたものが消えてしまったからなんだろう。

僕は自分でも訳が分からないまま、その場でしばらく泣いてしまった。

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