after7
「…ひろ…と」
「どうしたんですか?僕に…僕に何か出来る事が!?」
先輩は目を伏せ、違うと僕に知らせる。
「なら…何です?何でも言ってください…僕に…僕に出来る事なら!」
先輩は小さく息を吐くと、震える唇で語り始めた。
「…俺は…馬鹿…やろ…うだ」
「え…?」
「これは…多分酬い…だな…。厚川に…俺は酷いこ…と、しちまっ…た罰…だ」
「唯は…唯は大丈夫です!先輩の事…先輩ともう一度…話をしたいって…謝りたいって!」
「…そう…か。あいつ…はさ…俺たちに絶望なんかじゃ…なくて、希望をくれて…いたんだ」
何だろう…。話している先輩はどこか清々しいものに感じた。
「俺は…ヒトでなくなった…。あのとき…理不尽な事全てを…あいつ一人…に背負わせて…。自分が…助かりたいから…って……殺そうと…した。あいつを消せ…ば、平穏な現実…に還れる…思った」
「先輩…」
「俺はただ…死にたく…なかった。その恐怖に…耐えられな…かった。怖かった…元の現実に…帰りたかった…だけなのに…ごほっ!!」
何かが喉に絡んだような大きな咳。
もう喋らないでください…。
懺悔なんて必要ない…それはこれから唯自身に言ってあげるべきです。
きっと…唯は許してくれます…。
「あの世…界に居られれば…、こんな…苦しみも…感じる事もなかった…。あいつは…最期の希望を…俺に与えてくれていた…んだ」
僕にはもうその言葉に応える事が出来なかった。
「てめえ…の事ばかり…で、俺は…サイテーの…クズ野郎…だった」
そんな事…ないです。
先輩は僕を助けてくれて、その存在がどれだけ心強かったか…。
「結局…帰れば…こんな有様だ…。狂ってるよな…この世界…は」
先輩は眼球だけを動かし僕の顔を見た。
「泣かないで…くれよ…。俺だって…俺だって…」
僕は泣いていた。
もう何を言っていいのか分からない。
喉が震えて声を出せない。
「本当は…死にたくなんて…ない…だろ。う…うぅ…嫌に…決まってんだ…ろ」
当たり前です…よ。誰だって死にたくなんてない。
それが理不尽なものならば…尚更です。
涙を浮かべている先輩。
それは絶望によるものか痛みから来る辛さからなのか、僕には計り知れない…。
どうすればこの時間を幸せなものに変えられる?




