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after5


「行こう。みんなを…助けなきゃ!」


僕は瓦礫の下敷きになったヒトを見ないように、ビニール袋に無事な食べ物や飲み物を詰めた。

そして同時にその場で食べられそうな物を胃の中に放る。

生きる希望が湧いた今、無理にでも栄養になるものを無理矢理押し込む。

口も胃もそれらを拒むかのように拒否反応を起こすけど、それでも僕は飲み込んだ。

そうだよ、こんなところで一人…死んでられるか!

僕は…生きるんだ!

味なんてあってない様なものだった。

けれど体が満足に動かないようではこの先何も出来ない。


「みんな…無事で居てくれ…」


僕の目は真っ直ぐを向いた。

この墓標とも言える場所のどこかで、みんなが助けを待っている。

物を食べ終えるとすぐに体を起こし歩き出した。




建物と呼べるものはその全てが倒壊していた。

原型を留めているものは一つもない。

道だったはずの場所も今ではもうその意味を成さない。

自分が今どの場所に居るのかそれすらも曖昧になってくる。

けれど自分が長く暮らした町。

何かしらの手掛かりになるものは至るところに存在しているんだ。

店の看板、覚えのある地形。

正確さには欠けるけど、それでも十分なものだった。

僕は注意深くそれらを観察し、歩を進めて行く。

時には亡骸もやはり見えてしまい、僕の体は嘔吐しようとするがそれを耐えた。

これ以上体力を奪われるわけにも行かない。

今僕を支えているのは、あの世界で共にした『仲間』が生きているというものだけだった。

けどそれでいい。

それだけで十分だ。




僕は見覚えがある場所へ辿り着く。

そこは現実では意図して近づいたことのある場所ではない。

あの世界で立ち寄った事のある場所だった。


僕は立ち尽くす。

その光景が自分の体を震わせるのには十分だったからだ。

言葉が出て来ない。

体中の血が冷却でもされてしまったかのよう。

そこで眠る人物はすでに息も絶え絶えだった…。

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