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四日目-33


「私…怖い」


「そうだね。僕も怖いよ…」


「ううん、それだけじゃない。やっぱり…元の世界に戻るって事も…怖い」


唯は肩を抱いて身震いしていた。

それは今まで現実から目を背けていたのだから仕方のない事だ。


「大丈夫。僕が…必ず迎えに行くから」


「…うん」


「そうだ、体の方は大丈夫?何かおかしなところはない?」


「え?うん、私は大丈夫」


「そっか。けどもう残されている時間は少ないかもしれない…」


「さっきも言ってたけど…どういう事?」


「実は…昨日辺りから体の具合がどうにもおかしいんだ。先輩が唯にあんなにも迫ったのは多分、その変調が原因なんだと思う。思えば先輩もしきりにわき腹を気にしていたし、顔色も良くなかった」


「…先輩もどこか悪かった…の?」


「多分…ね。山下さんやまみこちゃんの件を考えたらさ、やっぱり正気でいろって方が無理だと思う…」


先輩…。あそこまで追い詰められていたなんて僕が目を配っていれば、唯とあんな事にならずに済んでいたかもしれない。

けど今更起きた事をとやかく言っても始まらないんだ。

現に僕だって焦りは隠せない。


「唯も怖いかもしれないけど、絶対に還ろう。…二人でさ、それで先輩ともちゃんと仲直りするんだ」


「…そう…だね」


「まだ不安…なのかい?」


「うん。浩人が居てくれるのは心強いけど…正直すぐには心の整理が付きそうにない…かも」


「……………」


そうだな。

こんなにも急に色々言われて困惑しない方が無理な話だ。

余り猶予はないけど、少し時間が必要なのかもしれない。


「唯が決心するまで、僕は待つよ。二人で還らなきゃ意味がないから」


「いいの…?」


「うん」


本当に『帰りたい』と願う気持ちがなければ、唯がこの世界から抜け出る事は叶わないだろう。

それが多分扉を開けるための『鍵』なんだと思う。

唯自身が真実を知ってもなお形を変えない世界。

先輩を否定した時に無意識でフェンスを消したように、強く願えばそれも可能かもしれないが、迷っている今は無理だろう。

なら気持ちを落ち着け、整理する時間はやっぱり必要なんだ。

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