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四日目-27






傍で話し声が聴こえる。

わたしが薄っすらと意識を取り戻したときに気付いたのは二人の声だった。


「なんとか峠を越え、一命は取り留めました。あとは意識さえ戻れば安心でしょう」


「…助かったんですね」


「ええ、幸い発見が早く救助しれくれた方の処置も良かったので、その方にお礼を言っておくと良いでしょう」


知らない人とおばさんの声だった。


「しばらくは入院が必要ですが、大丈夫です」


「入院…そんなお金はありません!今すぐその子は連れて帰ります」


「なっ…何を馬鹿な!お母さん…あなた正気ですか!お子さんはまだ眠ったままなのですよ!?」


「その子は保険にも入っていないし、私の家には…もうそんな余分なお金がないんです。…あなたは私に死ねと仰るんですか?」


「確かに家庭的な問題で金銭的なもののやりくりは大変でしょう。…保険に入っていなかったのはお気の毒ですが、支払いは多少なら先延ばしにする事も可能です」


相手の人はお医者さんみたいだった。

家とは違う、清潔な匂い。


「ふざけないでください。私だって自分の保険すら解約して働き詰めで…何でこんな子に…!!」


「お母さん!あなた自分の子供なのに何故そんな事を…!」


「その子は…自分の子じゃありません。無理矢理押し付けられて預からされているだけです」


「しかし…!ではこの子の本当の両親はどこにいらっしゃるのですか?」


「…刑務所の中です。どの道そんな連中に金が払えるわけないでしょう。犯罪を犯して捕まったんですよ…」


お医者さんはおばさんの言葉で黙り込んだ。

…おばさんは結局わたしのことなんて『不要』だって思ってるんだね。

何で…助かったの?誰が助けたって言うの?

わたし…助かりたくなんてなかったのに…。


「あなたの複雑な家庭の事情は分かりました。だが私は医者として、意識も戻っていないこの子を退院させるわけには行きません」


「はっ…そこまで言うならあなたが勝手に面倒見てくださいな。私には関係ない」


「…あなた…本当に人の子ですか?苦しんでる子供に対してなんて事を…」


「その子は勝手に家を抜け出して、勝手に池に落ちた。ただそれだけの事でしょう?…誰が助けたのか知らないけど余計な事を」


おばさんは舌を鳴らして悔しがった。

目は開けられないけど、音でわかる。

けどお医者さんは凄い剣幕でどこかを叩き付けた。

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