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四日目-26


コンビニで盗んで隠していた、最後の一つのチョコレートをポケットから出した。

本当はこれも返さなきゃいけないって分かっていたけど、最期くらいいいよね?

口に投げ入れたチョコは甘くて凄くおいしかった。


その後わたしは押し入れにあった鉄の棒を取り出してドアを壊した。

もう辺りは真っ暗で早くしないとおばさんが帰ってくる。

わたしはすぐに家を飛び出した。


町にある大きな公園。

わたしはここが凄く気に入っていた。

静かだし広いから人にもあんまり見られない。

一番のお気に入りは大きな池だった。

昼間見たときにはキラキラ太陽で輝いて、宝石みたいに光って凄く綺麗だった。

本当は海ってものを見たかったけど、こんな綺麗なら池でも十分だ。

最期にここで泳げるんだし。

わたしは張られている柵を跨ぐ。

服を脱ぐ必要なんてない。

まだ水は冷たいだろうけど、そんなことは関係なかった。


鳥のように翼を広げ、広大な池の中心へと向かうために。

わたしは飛んだ。


最初は凄く冷たかった。

服が水を吸い込んで身体がどんどん重くなる。

けれどわたしは泳ぎ続ける。

じきに寒さすら感じなくなってくる。水の温度に慣れてきたみたい。

泳ぐ、ただひたすら泳ぐ。目指す目標なんてない。これは最期の遊び。


やがて疲れてきたのか身体が重くなりすぎたのか、わたしの身体は沈み始める。

腕も満足に動かなくなってきた。

わたしはもう顔を上げるのが精一杯で、動きの鈍った腕はただ悪戯に水を掻くだけだった。

そして完全に顔も沈んだ。

暗い。水の中。

そこには何も存在しなかった。

何も見えない。


『わたしと…同じだ』


呼吸が漏れる。

苦しい。

水の中で咳き込むのがこんなにも苦痛だとは思ってもみなかった。

がぼがぼと、凄い勢いで水を飲み込んでいるのが自分でもよく分かる。

どんどん沈んで行く。


…あぁ、これで…自由になれる…んだよね…。


わたしの意識は、そこでついに途切れた――。

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