四日目-25
春が来て夏を迎え、そして秋が訪れ冬が到来した。
おばさんは痛いことはしなかったけど、いつも疲れきった顔でわたしの顔をみるたびに酷いことを言っていた。
『あんたさえ居なければ』だとか『いつでも死んでいいんだよ』って。
わたしはいつもそれを無言で聞くしかなかった。
逆らったらおじさんと同じようなことをされるかもしれないと、いつも怯えていたから。
みんな…みんな自分のことしか考えない。
誰もわたしのことなんて見ていない。
誰もわたしを必要だって言ってくれない。
大人なんて嫌い。
みんな大嫌い。
みんな消えちゃえ。
小学校六年生になった頃。
もうどうでもよくなったわたしは、開き直っておばさんが家を空けている隙に、たびたび家から抜け出るようになっていた。
公園に行って遊んだり、コンビニとかスーパーで食べ物を盗んで食べたりした。
いけないことと分かっていたけど、解放感に満ち溢れていたわたしには自分で止められるはずもなかった。
本当に凄く楽しくて夢のような時間だった。
これが『自由』なんだって、初めて心の底から思えた。
けど、それもすぐに終わった。
コンビニでお弁当を盗んでいたのが見つかったんだ。
お店の人に捕まって、警察の人が来てわたしは連れて行かれた。
おばさんが呼び出されて、何度も何度も謝っていた。
許してもらえたのか、わたしは二人に連れられて家に戻された。
家に帰って警察の人がいなくなると、すぐにおばさんは凄い声を上げながらわたしを激しく殴りつけた。
まるで猿がわめいているかのよう。
恥をかかせただとか、クズだとか。二人の子供だからやっぱり犯罪者だって言っていた。
もう何を言っているのかさえ、意味が分からなかった。
やがて自分が殴られている音すらも聴こえなくなった。
おばさんは泣いて赦しを乞うわたしの声なんて聴こえてないようだった。
口の中が鉄の味だけになって、壁に頭をぶつけたところでわたしは気を失った。
そしてまた、動物園で飼われている家畜のような生活が始まった。
部屋の窓には板が打ち付けられて出られないようにされた。
扉には鍵が掛けられた。
わたしを完全に閉じ込めるために。
二度とわたしが抜け出さないように。
もう…どうでもいい。
わたしには自由すらないって、そう思わされたから。
何も楽しいことなんてない。
こんな狭い場所でいつか死んじゃうんだ。




