四日目-23
始まりは小学生に入った頃だった。
お父さんとお母さん。
物心付いたときにはすでに二人はいつもケンカばかりをしてて、構ってもらったこともほとんどなかった。
どこかへ連れて行ってもらった記憶も、何かを買ってもらった覚えもない。
お父さんはほとんど毎日家にいるのに、お酒を飲んで寝てばかり。
お母さんは家で仕事をしていたけど、毎日お金がないと文句ばかりを言っていた。
わたしが遊んでとねだるとうるさいと言って叩かれもしたし、お腹が減ったと言うと我慢しろとまた叱られた。
一人で家の中を駆け回っていると、喧しいとお父さんお母さん、アパートの人からも怒られた。
だから家では大人しくすることにした。
学校へ行っても友達もいなくていつも一人ぼっちだった。
みんないい洋服を着ていたのに、わたしだけ毎日同じ服だった。
いつか誰かが言った。
『おまえんちビンボー』だって。
わたしがお母さんにそれを話すと、また怒られた。
それから話もほとんどしなくなった。
みんな楽しそうに友達と遊んでいたのに、わたしの傍には誰もいなかった。
集団下校でもわたしだけいつも最後を一人ぼっちで歩いてた。
誰もわたしなんかと話もしたくない、遊びたくないみたいだった。
だっていつも汚い服を着ていたし、自分からはほとんど話さなくなっていたから、いつしかわたしは『かかし』って呼ばれて置物扱いにされていた。
そんな日々が続いて、ある日――。
わたしが学校から帰るとたくさんのパトカーが家の前にいた。
警察の人が二人は当分帰ってこないって言った。
突然お父さんとお母さんがいなくなって、親戚の人の家に行くことになった。
見たことも会ったこともない人たち。
家の前で会ったときは凄く優しそうだった。
けど家の中に入るとすぐに怖い顔になった。
わたしは厄介者なんだって、そう唾を吐かれた。
二人がどうなったかは知らない。
けどその後学校でわたしのあだ名は『かかし』から『はんざいしゃ』になった。
どういう意味かは分からなかった。
けどそれに気付いた先生は怒ってすぐやめさせてくれたけど、じきにからかわれることすらなくなって、みんなわたしから遠ざかるようになった。
そして完全にわたしは孤立した。
小学校も四年生くらいになった頃、おじさんとおばさんは毎日のようにケンカを始めるようになった。
お父さんとお母さんと一緒だった。
おじさんは馬ってものにお金をつぎ込んでいたらしい。
おばさんはいつも顔を真っ赤にして怒っていた。




