四日目-20
「わたし…わたし…」
「うん…僕はちゃんと分かってるから」
精一杯の笑顔を取り繕い、僕はその場に座った。
「ごめん…僕が…止められなくて。唯に…唯だけに…酷い目に遭わせてしまって」
誰を咎めればだとか、そう考えられたらどれだけ楽な事だろう。
けれど…そんな事は無意味でしかない。
僕は抑えきれない感情が溢れそうになるのをなんとか堪える。
駄目なんだ…今、泣いてしまっては…。
僕がしっかりしなくて、唯が立ち直れるわけないじゃないか!
表情を隠すように俯いて涙を堪える。
「唯が悪いんじゃない…悪いのは…全部この不条理な世界だ」
「…ひろ…と?」
「何で…こんな事になったんだろう…。僕は…僕は…」
握り締めていた拳に力が加わる。
行き場のない、やり場のない感情。
それらを全てこの拳だけに背負わせる。
「唯…教えて欲しい。君の望み…それは何だ?」
「…のぞ…み?」
「君が…どうしてこの一人ぼっちの町に居たのか。それはどんな理由があったからなのか…僕は、それが知りたい」
この世界にはもう、僕と唯の二人しか居ないのだろう。
水仙寺さんにまみこちゃん。
山下さんに、そして先輩までも…。
みんな消えてしまった。
「唯、話して欲しい。この世界は…君が創ったものだろう?」
僕は顔を上げた。
その時どんな顔をしていたのかは自分でも分からない。
けれど唯は僕から視線を逸らしていた。
…それはようやく落ち着きを取り戻し、同時に僕の問いに肯定したという意味だ。
「…わたし…本当に…しらない」
ようやく搾り出した言葉はそんなものだった。
「そっか…唯、君にも分からないんだね」
「…ひろ…と?」
僕は唯の隣に行くと、並ぶようにして膝を抱えて座った。
「質問を変えるよ。唯、君がこの町に来て一番最初に目覚めたのはどこなんだい?」
「……………」
「覚えてない?」
唯は膝に顔を埋めたまま、小さく声を絞り出した。




