四日目-19
どこをどうやって歩いたのか。何を考えながら辿り着いたのか。
何も覚えてはいなかった。
気が付いた時には目の前に独り、座り込む女の子が居た。
「…うぇ…あ…ぁぁ…」
一人泣き崩れる女の子。
さっきからずっと泣いたままだったのだろう。
嗚咽を絶え間なく続け、溜めていた感情を吐き出しているようにも見える。
まだ苦しさも抜け切っていないのだろうか?
僕はそれを見下ろす形で眺めていた。
どうして…こんな事になってしまったんだろう。
何故?
なぜ?
ドウシテ?
思考が戻ってきたかと思えば、そんな単語だけが僕の脳裏に浮かんでは消える。
全身が気だるい。
まるで全て抜け切ってしまったかのように体に力が入らない。
ただ、それでも――
「…唯、大丈夫かい?」
僕は目の前で咽び泣く、独りの女の子の名を呼んだ。
「………」
僕は手を差し伸べる。
けれど、それを彼女は力強く叩き返した。
「唯?」
「こ…こないで…いや…いやなの!」
怯えきった目。
ガチガチを音を立てて歯を鳴らす。
尻餅を突いたまま、震える彼女はあとすざりを始めた。
「大丈夫」
「いや…いや…っ」
「大丈夫だよ」
「しらない…わたし…しらない!かんけい…ないっ!!」
どれだけ手を差し伸ばし続けても、彼女はそれを拒否する。
僕が僕である事を知って拒絶しているのか、それとも単に混乱しているのか。
…そんな事はどうだってよかった。
僕は唯に言わなければならない。
恐ろしいものを見るかのような目。
そんな刺す眼差しを向けながらも、僕は彼女に近づき目前でしゃがみ込む。
「…ぁぁ」
「僕は何もしないよ。大丈夫だから」
「い…やぁ…ぁ」
「唯、君のせいなんかじゃない…。あれは唯のせいなんかじゃないんだよ」
真っ直ぐに目を見据え、怯えた目を受け止める。
彼女は目を逸らさない。
いや…逸らせないのだ。
僕が危害を加えるんじゃないかと、そう思っているんだろう。
咎める気でいるのだと思っているんだろう。
違う、違うよ。
僕はそう伝えるために彼女から視線を外さなかった。




