四日目-4
僕だって…僕だってそんなのは嫌だ!
あんなに虚しくて悲しい出来事…もう体験したくない。
人が消えるなんて馬鹿馬鹿しい事だけど、あれは手品でも何でもない。全部本当の事なんだ…。
先輩だけが知っていた事実だったけど、僕もこの目でしっかりと見てしまった。
これ以上…みんなに居なくなって欲しくない。
僕だって消えたくなんてないんだ。
「…もう少しだ。もう少しで何かが見えてきそうなんです!けど…どうやってもそれが分からない」
僕自身も余裕がないのが分かっているからか、止めようと思った言葉を止められない。
繋がらないパズルのピース。
考えれば考えるほど頭痛さえしてきそうで僕は頭を抱えてしまった。
「浩人、そんなに思い詰めるな。こんな不可解な事…俺たちだけじゃどうにもならないかもしれん」
「けどそんな悠長な事を言ってもいられなくなりました。僕にはもう…頼れる人が先輩と唯しか居ないんですよ」
「浩人…」
「こんな気味の悪い場所で、誰かが最後一人取り残されたらと思うと…そんなのは絶対嫌なんです」
「けど俺たちのオツムで何をどう考えを廻らせて行けば良いんだ?確かに山下さんからヒントは貰った…けどあんなもの、俺たちがどうこう出来る代物じゃない」
「それでも、やらなくちゃいけないんですよ」
「…お前」
「もう少し…たった一つでいい。今僕が引っ掛かっているその理屈が分かれば…何かが見えてきそうなんです」
「解けそう…なのか?これまで起こってきた不可思議な事が」
「それが直接結び付くかどうかは分かりません。けど、見えてきそうなんです。繋がりようのない出来事の数々…けどそんなバラバラで統一性もない事柄でも、どこかで繋がって一つに出来そうな気がするんです」
先輩は僕の言葉を聞くと、腕組みをして何かを考え始めた。
「浩人、お前が考えている事ってのはどんな事なんだ?抽象的すぎて俺にはまだそれが良く分からない」
「えっと…今まで起こった出来事のカラクリの事です。些細な事から大きな事まで、今まで僕らが体験してきた事全部」
「そっちのほうか。お前はそれをどっちで考えているんだ?現実的か?それとも非現実的にか?」
「…それは意識してませんでした。けど、どっちかと言えば現実的…かもしれません。理屈を知らない事にはどうやっても見えてきそうにないので」
僕がそう告げると先輩は僕に向き直るなり目線を鋭くした。
「浩人、お前自分で言っていたじゃないか。現実的に考えるのは止めようって。逃避するのは止そうってな」
「…はい」
「だったらさ、物事を非現実的に考えられないってなら空想してみたらどうだ?あくまでも空想だ。どうしても普通に考えると現実論が邪魔をする」
「空想…ですか」
「例えばだ。俺たちが居るこの場所は…俺たちが知ってる町とは別物。似ているだけでまるで違う町。夢の中…空想前提で考えてみるんだよ」
「空想前提か…これが…夢」
「そうさ、今も俺たちは眠っていて夢を見ている。理屈では考えられないがそう仮定して考えるんだ」
「でもっ!僕らは同じ時間に同じ場所でこの体験をしてるんですよ?そんな都合良く全員が眠っている間にとか…」




