四日目-3
「けど学校や家は普通なんだよな」
「ええ、理屈はわかりませんが、やっぱり誰かが僕らを嘲笑いながらこんなことをしているような気がしてなりません」
「作為的に感じちまうもんな…。どうやったらこんな事が出来るってのか…でも現実的に考えてもこればっかりは無理だろう」
僕らは校庭にあるベンチに揃って腰を下ろす。
「あの闇の奥…あそこには一体何があるんでしょう?」
「分からん。ただあれは空洞と呼ぶには変な気がした。こんな言い方をしてはなんだが、空間…って言葉が似合うな」
「家の中にあんなものが存在するなんて、どうやればあんな事が可能なんだろうか…」
「あれがどこかに繋がっているというのなら…それはあの世ってものかもしれないな」
先輩はもう笑うしかないと、無理に笑みを取り繕った。
「先輩…間違いなく僕らはここに居ます…よね?」
「藪から棒に何だよ?実際居るに決まってるじゃないか」
「いえ、夢って話をしましたけど…こんなに鮮明に視ていられるものが存在するのかなぁって…」
「…そうだな。もしそうなら悪夢と呼ぶには相応しいものだよこれは…。けど俺たちは間違いなく会話もこうやってしている。夢の理屈やメカニズムなんて俺には分からないけど、少なくとも夢の中でまた睡眠をする…そして持続したものを何日も体験出来るはずがない」
「ですよね。じゃあ僕らは一体どうしてこんな場所に来てしまったんでしょう…」
間違いなくこの世界は元居た町じゃあない。
似て非なるもの。
ちゃんと頭で色々と考えることも出来るし、何よりも先輩が言ったように夢の中でまた眠ることが出来るなんてのもおかしすぎる話だ。
だから夢というわけでもない。
ベンチに腰掛けながら見渡す風景はいつも僕らが視ていたものとなんら変わりはないんだ。
少なくともおかしな現象が起こっているのは僕らの知らない場所ばかり。
やはり誰かが意図的にしているとしか僕の頭では答えが出てきそうになかった。
何もかも都合が良すぎるのだ。
けど何か…何かが引っ掛かっている。
山下さんが残してくれたヒントのお陰で、もう少しで何がが見えてきそうな気がした。
「…………」
僕は足下に広がる砂を一掴みしては地面に落す。
それはサラサラと手の平から零れて行き、落とされた部分に小山を作った。
「浩人。俺たちは本当にこのカラクリを暴けるんだろうか…」
「先輩…」
「もし…もしもだ。このままそれが暴けなかったら…俺たちもいずれまみこちゃんや山下さんのように消えちまうのかな」
「…それは嫌です」
「ははっ…だよな」
弱気な台詞を吐いてしまうほど先輩にも余裕がないんだろう。




