三日目-19
近場のスーパーに寄ってみる。
寿司だとか惣菜なんかもたくさん並んでいたけど、当然そういうものを口にする勇気はなく断念。
結局カップラーメンやレンジ用のスパゲッティなど、炭水化物類を多めに手に取り、飲料や菓子なんかもたくさん袋に詰めた。
まるで遠足気分で少し楽しい気分になったけど、やっぱりお金を払わずにレジを通るのは慣れなかった。
買出し?を終えると先輩の家へと向かう。
アパートでの一人暮らし。
両親が安い物件を探して借りてくれたのだと言う。
二階建ての木造アパートだったけど、造りがしっかりしているのか思ったよりも小奇麗な印象だった。
先輩の部屋に入ると凄く綺麗に片付けられていた。
男なのに綺麗好きなのかと聞けば、彼女がいつもやってくれているから綺麗なのだと惚気られる。
そういえば先輩も心配で仕方がないだろうな…。
好きな人がこんな事になって居なくなった。
あまり話題に出さなかったのは気を遣ってくれていたんだろう。
僕は敢えてそこには突っ込まないようにして、敷いてくれた座布団の上に座る。
僕らは夕食を食べながら他愛無い雑談をして、しばらくくつろいでいた。
時計の針はすでに十一時を回っていた。
「なあ浩人」
先輩は少し言い辛そうにして僕に訊ねてくる。
「はい、なんでしょうか?」
「お前言ってたよな、まみこちゃんがひょっとして死んだわけじゃないって…」
「その事ですか…。正直僕にも分かりません。けど理屈で言うのなら可能性はあるんじゃないかって」
「そっか…。あー駄目だな俺は!どうしても気になっちまうんだ」
「仕方ないですよ。だってまだ今朝の出来事なんですから…。気にするなってほうがどうかしてると思います」
頭を掻き毟る先輩。
やっぱりどうしたって昨日の今日で割り切れる事なんて出来ないんだろう。
「お前の意見を聞かせて欲しい。お前は…この町の事、どんな推測を立てて見ている?」
「僕の意見ですか。ん~…正直そういった推測すら立てられない状態です。何もかもが理屈で通らなくて…」
「俺は…やっぱり誰かが意図的に仕組んだと思ってる」
「誰かが仕組んだ事と?」
「ああ。確かに現実離れした事も多いが、それでも理にかなった事のほうが多く残ってる気がするからだ。浩人はそう思わないか?」
「確かにそうかもしれません。特定の物だけ無くなったり、人が消えたと言っても体…遺体なんかが残ってる訳でもない。あの隣町の事だってやっぱり映像で僕らを惑わしていただけなのかもしれない」
「だろう?現実離れした事と言っても、その後がしっかり現実として色濃く残っていることばかりだ。あの弁当だってそうだ、きっと誰かが人知れず補充してるんだろう」
「そう…ですね。毎日新しい弁当が補充されるなんて、人がやってるって証拠にもなります…し?」
そういえば…どうして唯はあの時そんな事を知っていたんだ…?
有耶無耶にされはしたけど、あの時は別におかしな事とは思わなかった。
けど、今になって思えばあの時はまだ二日目だ。
なのになんで『毎日』だなんて言葉を使ったんだ…?




