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三日目-18



考えるべき項目が多すぎる。

とてもじゃないが僕みたいな凡人に整理しきれるものじゃない。…自信がなくなってきた。

埋めるべきパズルのピースは幾らでも存在する。

けれど合致する部位が一つもない状態なんだ。


僕はその場に座り込んだ。

朝から駆けずり回ってまだまともに休んでなかったし、疲れていたとしても仕方がないのかもしれない。

というか、頭が疲れた。

僕は座るのを止めて、その場に大の字になって寝転んでみる。

すると物凄く体が楽になった。

空が見える。

青々とした快晴の空が。


「あ…あはははは。こんな事も気付かなかったのか僕は。空…雲も動いてないや」


ずっと空を眺めていても、雲が動いている気配がない。

風がないからだとかそんな理屈はもう関係ない。

何度も見てきた空だけれど、こんな身近なところにもおかしな事は存在していたんだ。

この世界は何かが狂っている。

僕の、僕らの見てきた常識なんてものがここにはない。


気付けば僕は眠りに就いていた。















真っ赤な夕日が映える。

風に当たることもないし、こんな屋外で眠っていようと風邪なんて引かないだろう。

どれくらい寝ていたかなんて陽の沈み方で分かるし、そもそもどうでもよかった。

ただもうじき一日が終わる。それだけのことだ。

僕は体を起こして振り返った。


「う…うわあっ!!」


心臓が止まるかと思った。

背後にはいつの間にか瀬上先輩が座っていたのだ。


「先輩…脅かさないでくださいよ…。凄くビックリした」


「すまん。お前が気持ちよく寝てたもんだからな。起きるまで放っておいた」


「そうですか。すみません、折角来てくれてたのに眠ってたなんて」


「いやいいよ、疲れてたんだろう。俺はその間学校の中を見回ってたりしてたしな」


先輩の表情はどこかわだかまりに塗れている感じがする。

考え事をしているようだ。


「どうかしたんですか?何かまた発見でも…」


「いや、その逆だよ。何も見つからなかった。見れば見るほど何もない。…ただこれはある意味発見って事なのかもしれないけどな」


「やっぱり変ですよねこの町。そうじゃない…多分この世界が」


「ああ。学校内も在って然るべきものがなかったり、おかしい事だらけだ。浩人にはまだ言ってなかったけど、病院もそんな感じだった」


「病院?あの総合病院ですか?」


「そうさ。まみこちゃんを助けるために呼吸器を探した時の事だ。けど病院なのに明らかに機材が少なかった。町一番の病院だというのに設備が持ち出されたかのように少なかった」


「あ…僕も、友達の家を調べたんですけど同じ感じでした。まるで夜逃げでもしたかのように、空っぽの部屋もたくさんあって…」


「全部が中途半端なんだよな。どうでもいいものが残っていたり、必要なものが無くなっていたり」


「はい、統一性ってものがないから困惑しちゃうんですよね。手掛かりなんてここからは見つけられないのかもしれない」


みんな些細な事でも疑問は持っている。

先輩だって山下さんだって、僕にはまだ知らない不思議な事を色々経験しているんだ。


「正直そんなだから、僕は考えるのを一時止めていたら…眠ってしまったんですよ」


「そう言う事か。まあしょうがないよな、こんなもん俺たちだけでどうにかなるような問題じゃない気がするし、手に追えんかもしれん」


「やはり…無理なんですかね?僕らみたいな高校生がこんな事態の原因を突き止めようなんて…」


「無理でもやるしかないんだろ?そうしなきゃいつまで経ってもこのまま俺たちは立ち往生だ」


先輩は立ち上がる。


「浩人、今日は家に来ないか?」


「え、先輩の家に?」


「ああ、一人で塞ぎ込んでても仕方ないし、こういうのはやっぱ賑やかに行かないとな」


「でも良いんですか?先輩だってその…色々あって疲れてるでしょうし…」


「だからだよ。…正直まだ不安で仕方がないんだ。こんな時だから誰かと居たいんだよ。情けない話だがな…」


先輩も怖いんだ…。そしてまみこちゃんの事だってそんなすぐに割り切れるものでもない。

僕らはもう引き返せないところまで来ているのかもしれないし、確かに一人よりも複数で居たほうが気持ちは楽になる。


「そうですね。じゃあお邪魔することにします」


断る理由もない。僕は先輩の誘いに快く応じた。

僕だって正直一人であの家に居たくないし、学校もやっぱり一人で居るには広すぎた。


「よし、それじゃ晩飯も持って行こう。コンビニばっかも飽きたし、スーパーにでも行くか」


「そうですね!気分を変えるなら食事も変えましょう」


僕らは手を掲げて盛り上がり、学校を後にした。

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