三日目-1
「ふあああぁ…」
大きな欠伸とともに、僕の目は覚めた。
勿論起こしてくれる家族の姿なんてない。
人が消えてから三日目の朝。
シーツから体を引き剥がすと、眠い目を擦りながら洗面所へ顔を洗いに行く。
何故か昨日に比べて少しだけ体が重いと感じていた。足が少しだけ重く感じる。
けれど特に体に異変もなく、疲れから来ているのだろうと気にはしなかった。
僕は朝食を済ませ、とりあえずはコンビニに向かう。
自転車は使わず、今日は徒歩で向かおう。
集合とか約束はしていなかったけど、多分誰かが居ると信じて。
けれどそこには誰も居なかった。
静まり返った空間。
ここに居るのは僕一人だけだ。
コンビニ内を覗いて見るが、そこにも人影はない。
「まだ…みんな寝てるのかな?」
その場に座り込んでしばらく待ってみるがさすがに早過ぎたのか、耳を澄ませても足音すら聞こえない。
「まだ八時…そうだよな、僕が早すぎたんだ」
言い表しようのない不安感。いや、これは焦りなのか。
他の人の姿を見れないだけでこんなにも僕は焦っている。
どうしようもない不安。
まさかみんな揃って消えてしまったんじゃないだろうか?僕を一人置いて…。
そんな事すら思い浮かべてしまう。
会いたい。誰でもいい。人の姿を見たい!
そんな感情が抑えきれなくなった。
「どこか…その辺を見てこよう」
僕はみんなの自宅を知らなかった。
だから直接家を訪ねることは出来ないんだ。
携帯が使えないというのはこんなときに本当に不便でならない。せめて家の場所を聞いておけば…。
役立たずとなった携帯をポケットにしまい顔を上げる。
落ち着きを隠せなかった僕は誰かこちらに向かって来ないかと周辺を歩いて回った。
本当に静かだ。
みんなと居ると賑やかですぐそんな事は忘れてしまう。
いつもの日常のように周囲は音で溢れているから…。
僕は本当は相当な寂しがりやなのかもしれない。
人なんていつも居て当たり前の存在だった。
どこを見てもひと・ヒト・人。
今の世の中空気と同じと言っても過言じゃないだろう。
こんな田舎町でさえ一人ぼっちを経験しようとしたら、それこそ山奥にでもこもらなければならない。
普段は意識なんてしてなかったから気付かなかったけど、僕らは人に紛れていることで安心感を得ていたんだと思える。
僕は捜す。見知った顔を。
足音を壮大に立て、気付いて貰えるように。
自分の存在はここだと示すように。
「はぁ…はぁ…」
コンビニでずっと待っていれば普通に誰かがやって来たかもしれない。
けれど待ってなどいられない。
自然と足は動く。
気付けば見知った家に辿り着いていた。




