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一日目-11




僕らは夕食を済ませた後、これからの事を全員で話し合った。

山下さんの話には驚かされたけど、本当に病み上がりなのかと疑ってしまうくらいの元気さだ。

先輩はみんなに不可解な事があれば知らせて欲しいとの頼み事と、時間があれば他にも居るかもしれない人を捜して欲しいことを伝える。

唯はそっぽを向いていてちゃんと話を聞いていたのか理解してくれたのか不明な感じだったけど、山下さんは快く承諾してくれた。

集合場所はこのコンビニか僕らの学校の二つと取り決め、自由行動ということになった。

誰かに用事があるとかもし困った事があったらそこで待機、というわけだ。


唯と山下さんは自分の家に帰りたいらしくその後別れ、結局僕ら二人になる。

僕らは場所を移し、学校へと戻った。

この状況になって初めての夜、今日一日だけで本当に色々なことがあった。

最初は一人ぼっちでどうしようか悩んで焦っていたけど、僕の他に三人もの人が残っていた。

本当に嬉しいし喜ばしい事。

賑やかなのは良い事だと気分が高揚した。


けどまだ何も解決したわけじゃない、浮かれてばかりもいられなかった。

先輩と相談した結果、明日は僕たち二人で隣町の様子を見に行こうという話でまとまる。

人捜しをやめたわけじゃないが、先輩はやはり他の町のことも気に掛かるらしい。

山下さんは先輩に会うまで病院で入院していたわけだし、頼みの唯もあんな感じで情報と呼べるものは何も得られなかった。

そんなわけで明日は情報探しと言うことになったのだ。


話がそう纏まると、僕らはお互いに唯と山下さんとの出会いの経緯について語り合う。

唯のことは散々冷やかされたが、最初の出会いの経緯を話すと先輩はありえないと驚いていた。

人見知りなのかただの性格なのか、僕にだってまだ良く分からないし、先輩には唯の前で変に誤解を招く事だけは言わないでくれと釘を刺しておく。

唯には明日どうするかは聞いていなかったけど、あんな様子では連れて行っても意味がなさそうとそれは断念した。

山下さんはどうやら明日はどうしても行きたい場所があるらしい。

半身不随でずっと歩けなかったんだし、しばらくは自由にさせてあげるのが一番なのかもしれないと先輩は言った。

まとまりはないかもしれないけど、時間はあるのだろうし何も問題はない。

自由にあちこち歩き回った方が色んな発見もあるかもしれないし、逆にそれでもいいのかもしれない。


話し合いが終わると僕らは別れ、自宅へ戻ることになった。

僕は集合場所とは別のコンビニに寄ると、誰も居ないことを確認して中へ。

そして中身も確認ぜずに表紙だけで雑誌を何冊か仕入れて即離脱。

そ…そりゃあ男だし、こんな状況だもの。少しくらいはいいよね?こういう不埒なもの読んでも…。

普通だったら自分じゃ買う度胸すらないんだ。

雑誌だって読み放題。あまり考え込んでいても良くないし、気晴らしは必要だ。

僕は誰にともない言い訳を頭でループさせ、そして帰宅した。


扉を開けると家の中は真っ暗だった。

気味が悪いくらい静かな家。当然だ、誰も居ないのだから。

すぐに電気のスイッチを入れ明かりを点ける。

こんな夜まで出歩いて文句の一つも言われないとは、僕はよっぽど放任されているらしい。

それでも僕は言わなければならない、


「ただいま」


と。


僕はすぐに部屋に戻ってベッドに寝転がる。

今は何も考えたくないからすぐに雑誌を開いた。


「え…?なんだこれ…」


雑誌はテレビと同様なのか、中身は真っ白なページで埋まっていた。

漫画もとある写真集も、全部が全部真っ白。そこには何も書かれても映し出されてもいなかった。

偽札でよくある話。表面だけは本物で中身はダミー。そんなことをふと思い出してしまう。

僕は仏頂面で雑誌をゴミ箱へと投げ捨てた。

ささやかな楽しみすらも奪われ、僕は不貞腐れる。

馬鹿馬鹿しい。


「こんな嫌がらせもされてるのか…ちくしょう!これじゃまるで僕がこういう本を持ち帰ることが分かってたみたいだ」


誰が毎度律儀にこんな嫌がらせをしてるのかは分からなかったが、悪戯の程度が低い。

そのあまりの幼稚さに、実はこの状況は大したことじゃないのだと錯覚してしまう。

熱が冷め、我に返るとあまりの静けさに現実を思い出す。

ほぼ無人となった夜の町。こんな夜更けだというのに家には自分一人しかいない。

冷静に考えると気味が悪く、同時に恐怖感が芽生えてくる。

こんな状態でいきなり物音でもしたならば、きっと飛び上がってしまうだろう。

心霊現象とか好きな人なんてそんなにいるわけない。当然僕だって当たり前のように苦手だった。


「もう寝よう…明日は早起きしないといけないし」


先輩が提案した時間は朝八時。

まだ眠くはなかったけれど僕はシーツを頭から被った。

いつもは電気を消すのが当たり前だったけど、今日はこれでいい。

やはり疲れていたのか、すぐに僕の意識は遠のいていった。

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