after23
翌日から僕は行動を開始した。
助けが来るとしても、それはどこからなのか位置は検討も付かない。
それはまた空かもしれないし、陸からかもしれない。
僕らが助かるためにはこの場所に近付いた人間に発見して貰わなければならないんだ。
空からの光景は多分僕らなんて蟻のような存在でしかない。
手を振ろうが大声を出そうが向こうに見えるわけがないんだ。
しかも足の速いヘリなんかだったら過ぎ去るのは一瞬だ。
見逃されてしまえばそれで終わりになってしまう。
だったら発見し易くするしかない。
けど上空からの景色は、この崩壊した町並みで迷彩のようになっているはずだ。
ただでさえ人間など見えないのに、この状況では更に厳しいものだと言える。
過ぎ去るのが一瞬の相手に気付いて貰うためには、何か大きなアクションを起こさなければならない。
無人島で救助を待つというのと今は同じ状況だ。
だが瓦礫や木々で文字を並べて助けを求めるなんて、原始的なやり方が通用するはずもない。
一番効果的だと思えるのは音・光・そして煙。
僕らが目覚めた直後なら至るところで火の手は上がっていたが、今はそれもなく煙を立ち昇らせる案だって使えるだろう。
結局のところ一番効果的だと思えたのは『火』だった。
これなら昼夜問わず上空の相手にも気付いて貰える。
外灯もなくなったこの町は夜は真っ暗な一面の闇になる。
そこで大きな燃える火があればそれだけで不審に思ってくれることだろう。
昼間ならば勿論立ち昇る煙が居場所を示してくれる。
僕らの存在に気付いて貰えればそれでいい。
ただでさえ自分たちが暖を取るために使いたい薪を使うのも馬鹿げていると思い、もっと効率的なものを探す。
そう、それは最も身近な燃料・ガソリンだ。
僕は生きているスタンドを探した。
ほとんどのものは壊滅の影響で使用不能になっていたけど、なんとか一つ使えそうな場所を見つけた。
ポリタンクを大量に用意し、僕はそれらを満タンに入れて持ち帰る。
小さな火では心もとないけれど、大量のガソリンで爆発を起こせば確実に不審には思ってくれるはずだ。
僕は住処にしている公園の一角にそれを積み上げ、来るべく日を待つ。
用意したはいいものの、あれから何も変化はない。
夢か幻か、すべては空想だったのかと思わせる。
『待つ』というのはこういう事なのだ…。
突拍子もない予想しない時にでも平気で訪れる。
精神的に辛い。
もし寝過ごしてしまったら…見逃してしまったら。
気付かなかったら。
僕の神経は少しずつすり減っていった。




