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歌謡曲雑感  作者: 前田智
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猫の森に帰れ

人の好みは様々ですので、良い悪いも人それぞれ。歌ってそれでいいんですよ。騒がしすぎるのはお引き取り頂きたいですが。安眠こそが大事です。

 谷山浩子。私にとってそれは、シド・バレットと共に恐怖の象徴でした。彼女の唄を知ったのは、中一の頃だったと思います。アルバムとしては『時の少女』、シングルなら「てんぷら・さんらいず」を唄ってらした

頃です。うちの質の悪い兄が、『猫の森には帰れない』『ここは春の国』と共に何故か、何をとち狂ったかレコード屋で入手してきて、当時親戚のお兄さんからお下がりで頂いたコロンビア(だった筈)のステレオセットで、大音量でかけていたものです。「目も鼻も口もない、にたりと笑う」とうたったり、「クマ紳士の身の上話」と、かなりとがったうたばかりでしたが、シド(こちらを聞いた方が後でした。聞くんじゃなかったと思った珍しいイギリスの方です)(ピンクフロイドの元リーダーとの事でしたが、マジもののスキッツォイド・マンで、そもそも彼の初のソロアルバムの題名が『帽子が笑う、不気味に』ですから、その恐ろしさがわかろうというもの。2枚目の『その名はバレット』に収録された「ドミノ」が、最恐のトラウマソングです。聞いたのは、今は無きホームセンターで売っていたバッタ物のオムニバス洋楽CDでしたけど。でも今世紀初めまではご存命でしたが。)以上のトラウマを植え付けてくれたのは、彼女のアルバム『鏡の中のあなたへ』収録の「あたしの恋人」でした。あれから、飛行機に乗るのが怖くて怖くて。とうとう40年以上空港行けませんでした。でも、歌そのものは飛行士の事を唄っているから、まあ別なんですけどね。それに同アルバムには「窓」とか「忘れられた部屋で」も収録されており、もの凄く良いレコードなんですよ。ただ、一曲目からあれを唄われると。シモンズの「恋人もいないのに」が耳元で聞こえてきそうですが、でも本人は大事故で寝たきり、そこに彼女から「死ぬまでそばにいるよ」なんて言われたら、考えるだけで恐怖です。「ドミノ」は英語なので歌詞そのものはわかりませんが、こちらは歌っている方がマジものなので、やっぱり怖いのです、生理的に。調子外れてますしね。

 ともかく谷山浩子さんは、ベスト聞くだけでも来るものがありますので、感性が鋭い方は気をつけましょう。私の小学校からの友人はどっぷり嵌ってましたが。「恋するニワトリ」とか「まっくら森の歌」とか某国営放送で流していたものは、エッセンスくらいは味わえますが、個人的には強くはお勧めできません。でも、前に書いたことがありますが、高田みづえ「子守唄を聞かせて」もこの時期の作品で凄く好きな歌です。その頃はまだ誰の作かは知りませんでしたが、高田さんの見事な歌唱で、名曲です。その後、斉藤由貴も「May]とか歌ってましたけど、それでも私としてはトラウマなのですよ。ちなみに彼女の唄で一番好きなのは、『ここは春の国』収録の「猫が行く」です。曲は違いますが、ひねもすのたのた出来ます。

だから、割と好きなんですってば。ただ、それに耽溺するのはお勧めできないだけで。自分の趣味は棚に上げておきたいですが。まあ、思うままでいいと思います。迷惑にならなければ。あんまり煩いと、猫が逃げてしまいますよ。猫の名前は「てぶくろ」ですかね。


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