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追放されたけど、最弱スキル〈修繕〉で辺境スローライフ満喫します  作者: 妙原奇天


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第49話 戦いの果てに ― 修繕士の選択

 夜空に月が戻り、闇は消えた。

 だが王都の大地には深い傷跡が残っていた。

 崩れた城壁、焼け焦げた街並み、そして倒れ込む人々。


 それでも――人々の瞳には光が宿っていた。

 絶望を超えて、生き延びたという希望の炎が。


「リオン!」

 仲間たちが駆け寄る。


 ルシアは剣を収め、膝をつきながら僕を支えた。

「……よくぞ、ここまで」


 ロイは盾を叩き、笑みを浮かべる。

「お前の修繕、ちゃんと届いてたぞ」


 セリーヌは涙を拭い、震える声で言った。

「命を削ったのに……それでも笑っているあなたが、いちばんの希望よ」


 アレンは僕の肩に手を置き、静かに頷いた。

「ありがとう。君がいたから、僕は人に戻れた」


「……僕は」

 声を出した瞬間、胸の奥に激痛が走った。

 視界が霞み、膝が折れそうになる。


「リオン!」

 皆の声が重なった。


 分かっていた。

 限界を越えて修繕を使った代償は、決して小さくない。

 命そのものを繋ぎ直した代償が、僕の中を蝕んでいた。


「大丈夫……」

 必死に笑みを作り、僕は仲間たちに言う。

「たとえ僕がここで果てても、修繕は繋がった。未来は……みんなに託せる」


「馬鹿言わないで!」

 セリーヌが声を張り上げた。

「あなたがいなきゃ、意味がないのよ!」


「そうだ!」

 ロイも叫ぶ。

「お前は英雄なんかじゃない。俺たちの仲間なんだ!」


 その時、アレンが僕の手を握った。

「なら、僕が繋ぐ。かつて命を奪う修繕をしてきた僕が……今度は命を渡すために」


 彼の体から光が溢れ出し、僕の中に流れ込む。

「アレン! やめろ、それじゃ君が――!」


「いいんだ。僕は一度影に堕ちた人間だ。それでも……君と一緒に未来を繋ぎたい」


 光が胸を満たし、痛みが和らいでいく。

 命が削れていたはずなのに、温かな力が僕を包んだ。


「アレン……」

 僕は震える声で彼の名を呼ぶ。


「生きろ、リオン。修繕士としてじゃなく……ひとりの人間として」


 その言葉は、夜空に響く祈りのようだった。

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