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追放されたけど、最弱スキル〈修繕〉で辺境スローライフ満喫します  作者: 妙原奇天


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第37話 影との死闘 ― 修繕士の限界試験

 森を覆う空気が、重く淀んでいた。

 影の修繕士が歩を進めるたび、木々は黒く枯れ、地面にひびが走る。

 闇そのものが彼の周囲にまとわりついているようだった。


「修繕士リオン……命の残量を、試す」

 無機質な声が告げられる。


 次の瞬間、影の修繕士の腕が振り抜かれ、黒い鎖が無数に奔った。


「来る!」

 僕は両手を掲げ、叫んだ。

「〈修繕〉――結合防壁!」


 光が走り、倒れた木々と石片が繋がり合い、光の壁となって仲間を守る。

 しかし鎖は容赦なく突き刺さり、防壁は軋んだ。


「耐えろ……!」

 額から汗が滴り落ちる。

 胸の奥が焼けるように痛み、視界がにじむ。


「リオン!」

 ロイが背後から声をかける。

「もう無理だ、退け! お前の命が削れてる!」


「……退けない! 僕が止めなきゃ、みんなが……!」


 限界を越えた痛みの中でも、僕は立ち続けた。


 影の修繕士が再び地面に手をつき、砕けた岩や枯木を組み合わせて巨大な巨人を作り出す。

 それはアークレアに匹敵するほどの大きさを持っていた。


「……影の機神……?」

 セリーヌが青ざめる。

「修繕の力で造り出した、模造の存在……!」


「アークレア、行け!」

 僕の命令に応じ、機神兵が轟音とともに突進する。


 闇の巨人と光の機神が激突し、大地が揺れた。


「主。防衛優先……戦闘継続困難」

 アークレアの声がわずかに乱れる。

 装甲にひびが入り、光が不安定に瞬いていた。


「アークレア……!」

 僕は駆け寄り、必死に修繕を施す。

 しかし力を注ぐたびに、心臓を掴まれるような痛みが走った。


「はぁ……はぁ……!」

 足元がふらつき、倒れそうになる。


「リオン! もうやめろ!」

 ルシアが必死に叫んだ。


 影の修繕士が静かに近づいてきた。

 無機質な声が、冷たい刃のように胸を刺す。


「確認……お前の修繕は、自己を削る愚行。限界は近い」


 その言葉が突き刺さる。

 本当に……僕は倒れてしまうのか。


 だが次の瞬間、村人たちの顔、仲間たちの声が脳裏に浮かんだ。


(僕は――一人じゃない!)


 崩れかけた心に、再び熱が宿る。

 僕はよろめきながらも立ち上がり、光を握りしめた。


「違う……! 僕の修繕は、命を削るためじゃない! 繋ぐための力なんだ!」


 光と闇が交錯する中で、二人の修繕士の力が正面からぶつかり合った。

 その衝撃は、森全体を震わせるほどだった。

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