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真実の『家族』に気が付いた王妃の時戻り ~王妃エリスは賭け続ける~  作者: 野菜ばたけ
【第六章】第八節:後宮にて(第八賭・裏:対貴族たち)

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第66話 賭けの継続と、子どもの成長



 派閥にも爵位にも偏りがないのが理想だったけど……こちらもおおむね賭けには勝った。

 自身の労力を使う必要があるという一点において、どうしても下級貴族の方が協力者の比率が高いものの、ティーディルディ侯爵夫人のような人も捕まえる事に成功した。


 勿論これで安心はしていられない。

 私たちを裏切らない人選には、更なる吟味が必要だ。


 しかしまぁ、第一段階は突破と言っていいだろう。

 ここから私の、政治派閥に関わらない第四勢力擁立計画が始まっていく。


 

 長かったわ。

 これで。


 ――これで、時戻り前にリリアに盛られた毒の出所を、特別扱いする理由がまた減った。

 私は小さくそう、ほくそ笑む。



 エインフィリア公爵夫人、ユアリア。

 あの女には成り行き上、今は協力者の関係だけど、いずれは切り捨てる事になる。


 許していないのだ。

 彼女の行いを。


 

 しかし、それにしても。


 ――あの夜会での一番の収穫は、平民街や商店に対する取り組みの重要性を最後まで隠し通せた事だわ。


 私はそう確信していた。



 最後に、付け加えるように言った事。


 国の経済を回し貧困層も買い物がしやすくするために、『祭り』に出店する店には物価を安くするように働きかけ、その安くした分を私からの補助金と、皆さまからいただいた寄付で補填する事。


 これが、最も周りから邪魔されたくない。



 平民たちとの間のトラブルは、もちろんあっても仕方がない。

 新しい事をするのに摩擦は付きものだし、その程度のトラブルならアランで十分に対応できるだろう。


 が、あそこに本来は関係のない貴族たちが介入し、この取り組みを邪魔されては迷惑だ。

 私が出なければならなくなるし、そうなると猶の事そこがこの催しの一番の肝である事がバレる。


 一番の肝であるという事は、そこが弱点であるという事だ。


 せっかくの、子どもたちを守るための、影響力拡大のための施策。

 邪魔はなるべく少ない方がいい。



 あの日に限った話で言えば、最後の賭けにも勝ったと思う。


 が、これに関してのみは、要経過観察。

 当日まで気を抜かないようにしなければ、と思う。



 それにしても。



 先日の夜会では、邪魔という邪魔が入らなかったお陰で、実にスムーズに事を終えられた。


 それが、とうとう側妃が身動きを取れない時期に差し掛かったからなのか、それとも彼女の手買いのスパイを一人秘密裏に追放したからなのかは分からない。


 が、時戻り前の今頃には既に目立ってきていた側妃の取り巻きたちが動かなかったのは、おそらく私が側妃の企てを封じて陛下から表立った冷遇を受けていないお陰で、どちらに付くか決めあぐねている状態だからだろう。


 まぁそういう人たちは、私の邪魔さえしなければいい。

 そもそも私個人の派閥に、風見鶏は必要ないのだ。


 大丈夫。

 顔と名前も、ちゃんと全員分覚えている。

 時戻り前にあちら側に着き子どもたちを愚弄していた人たちは、間違っても傍になど置かな――。



「ねえ、お母さま」


 ロディスの声で、我に返った。


「なぁに? ロディス」

「これ、僕にも読めるようになるかな」

「お勉強をすれば読めるようになると思うけど……どうして?」


 何故急に勉強に興味を示したのか。

 疑問で彼にそう問えば、私を見上げて屈託なく笑う。


「僕もお母様みたいに、リリアに本を読んであげれるようになりたいの」


 私は少し目を見開く。

 しかしそれもすぐに細めて。


「――そう。それなら少し早いけど、ちょっとずつお勉強し始めましょうか」


 妹想いの優しい子だ。

 そうなってくれている事が嬉しくて、思わず涙がこみ上げる。



 そんな私に、ロディスは目に見えてオロオロとした。


「お母さま、大丈夫? どこか痛い?」

「いいえ、そうじゃないの。嬉しくて」

「うれしい?」

「えぇ、ロディスが健やかに育ってくれた事が」

「王妃様」


 傍に控えていたアンが、ハンカチを差し出してくれた。

 それを受け取り、目元を抑える。

 そしてアンに再び視線を映し、ふわりと微笑みこう言った。


「子どもの成長なんて、きっとすぐね」


 アンは私の言いたい事をきっと分かってくれたのだろう。

 目を伏せて微笑みながら、「えぇ」と頷いた。


「ロディス様もリリア様も、ちょっとよそ見をしていたら、きっとすぐに大人になっちゃいます。そのお姿を王妃様のお傍で一緒に拝見させていただける事、とても幸運に思います」




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