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第44話あなたを想う日
雪がちらつく休日の朝。
隙間風がびゅーびゅー吹き込む不知火家のリビング。暖房が全くきかないから、重ね着は必須だ。
「よし……やるか」
ソファに座って、兄貴の本を開く。
文字の羅列に、圧倒される。
そのたび、スマホで、言葉を調べる。
相変わらず、気の遠くなる作業だ。
「頑張れ! 俺!」
両手で、頬をパンパンと叩く。
優乃さんのために、正しい知識を身につける。そう、決めたんだから。
その時、スマホが鳴った。
心臓がドクンと音を立てる。
もしかして、優乃さんかな?
あの日以来、連絡してないし……。
と思ったけど。
「なんだ。職場からか」
画面の表示は、スーパー・ニコニコ。
メッセージの内容は、シフト変更だった。
気が抜けて、腹が減ってきた。
「飯でも、作るか」
いつの間にか、昼だし。
立ち上がり、台所に移動する。
とりあえず、まな板と包丁を出した。
でも、何を作るかは決めてない。
そうだ。優乃さんの好きな物、作ろ。
ハンバーグ、オムライス……洋風系のご飯。
それから、ケーキとか、甘いものも忘れずに。
フライパンの上で、バターがじゅうっと音を立てる。
その香りが、あの日の優乃さんの笑顔を、ふっと思い出させた。
黙々と作業しながら、ふと思う。
こんなにも、自然なことになってたんだな。
優乃さんと一緒にいることが。
今日は、あなたを想う日……だな。




