↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
43/54

第43話生まれ変わったんだ

そうだ。今日、俺が2人に来てもらったのは、愚痴を聞いてもらうためじゃない。

気合いを入れて、缶ビールをドンと置く。


「兄貴。ともねえ。頼みがある」


兄貴とともねえにハテナマークが飛ぶ。

お前、誰?

……って、思われてる。


「何なのよ。急に、かしこまって……」


ともねえが、珍しく動揺してる。

そうだろうな。今までの俺なら、これで終わりだ。でも、今は違う。

俺は、生まれ変わったんだ--!


「俺は、優乃さんと幸せになるために、この命を使いたい。だから、2人に協力してほしいんだ」


兄貴の知恵と、ともねえのコミュ力。

俺の力で、某RPGの最強三角形、完成だ!

兄貴が、ふっと笑う。


「よし。じゃあ、勉強しよう」


兄貴が立ち上がると、次の瞬間――

ドサアアッ!

机の上に、大量の分厚い本が置かれた。

ブックタワーになってる。

どっから、集めてきたんだよ。これ。


「この辺は、医学系の参考書だな」


兄貴がブックタワーの下の方を指差す。

一応、『入門』とは書いてある。

でも、そんな難しいもん、俺に読めるのかな。


「なるほど~。優乃の病気のことを、ちゃんと勉強しておく……と」


ともねえのテンションがはね上がる。

うう……さすが、病院で働いてるだけある。

でも、優乃さんも看護師だし……。

俺も、知っとくべきだよな。うん。


「この上の方は、終活関係の本。年を取った時に必要なお金や制度の話が書いてある」


兄貴がブックタワーの上の本を指差す。

聞いてるだけで、めまいがする。

まだ、一文字も読んでないんだが。


「勢いじゃなくて、知識で勝負するってわけか」

「そういうこと。これなら、年取った時に、頼れる親族が……っていう話をある程度、クリアできるだろ?」

「すげ~……」


さすが、神童。考えるレベルが、俺と違う。

俺、兄貴の弟でよかった。今さらだけど。

それを気づかせてくれた優乃さんに、感謝しなきゃな。


「俺なりに、勉強して、考えて、決めたんだ。優乃さんとともに、人生を歩むことを……って言った方が、説得力あるもんね~」


ともねえがニヤニヤしながら言う。

でも、これで、丸くは終わらないのが、俺だ。


「俺、本なんて、高校卒業以来、読んだことないんだけど……」


兄貴とともねえがずっこける。

しかも、息ピッタリ。

某お笑い芸人養成所の芸人みたいだ。


「最初は、ネットでもいいんじゃない?」

「そういうもんなのか?」

「朋美の言う通りだ。ま、ネットはいろんな情報があるから、結局は、本で読んだ方がいいけどね」

「へえ~……」


俺、目をぱちくり。

30歳にして、新しい扉が開かれた。

人間は、いくつでも、成長できるんだな。


「それにしても、篝が、自ら勉強する日が来るとはなあ……」

「感慨深いわよねえ」

「なんだよ……それ……」


兄貴も、ともねえも、俺をなんだと思ってるんだ。これでも、ちゃんと、高校は卒業したんだぞ。


「よし。今日は、このへんでお開きにするか」


兄貴がビールを飲み干す。

気づけば、酒も、つまみも全部なくなっていた。心なしか、兄貴のテンションも高い。

……ったく。他人事だと思って。

その隣では、ともねえがにやりとする。


「私は、私で考えておくわ。篝には、絶対に、あの鉄壁のガードを崩してほしいからさ」

「……わかった」


何させるつもりなんだろう……怖いな。

あまりいい予感はしない。

ま、いいや。

なんだって、どんとこい!

生まれ変わった俺が、受けて立つ——!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。