11.その武器の名は……
都合憎し……ということで一昨日ぶりの投稿です。
ブクマが増えて、私の顔はご満悦!!
ガルの手に在るは、一本の傘。
だが、先日のようなビニール製で出来た軽くて柔く、壊れやすそうなモノとは一線を画する正真正銘武器であるとしか言えない風貌となっていた。
ビニール傘と比較してみると、
先端部──石突と呼ばれる出っ張りはなく穴があり、そこを覗くとキランッと光る一点
三角型の布部──傘布と呼ばれる生地は、魔鉱龍王の吸い込まれてしまいそうなくらいに漆黒の翼を硬度を失わぬ程度に薄く、しかし威圧感を失わないレベルで十六枚。それぞれの外側先には元々の翼に尖る魔鉱を安全に削られたモノ
柄──手元と呼ばれる傘本来の曲がった持ち手は、レイピア式、所謂護拳付き柄となっており、派手にならない程度に装飾が施された複雑なアーチ状の護拳による持ち手
となっており、その全てが一つの武器に集約されていることに驚愕を覚えつつも、コホンと取り乱した精神を落ち着けガルはトールへと尋ねた。
「で、この武器はどんなものになったんだ?」
「まずは持ち手のエッジが二重の出っ張りになっているだろ? それは軸となる反大蛇の骨髄に部分に神針鉱を通すように加工したものだ。それによってその部分の調整を可とし神針鉱の先端部の出し入れ、謂わば収納出来るってこった」
「それじゃユルユルにならないか?」
「あぁ普通はな。だがそこで魔力合成の効果だ。この部分に関していえば有っても無くてもいいんだが、効率が全然違う」
ガルは、身を乗り出すようにトールの話す説明を聞く。
「で、その効率はどうなる?」
「それはまず、反大蛇の特性を知らなければならない。ガル、なぜ例外級に位置づけられているかわかるか?」
そのトールの問に、ガルは自身の知識を漁り出す。そして見つけ出した答えを口にした。
「物理反射に魔法無効化か?」
その答えに、トールは惜しいな、と零す。
「確かに世間にはそう伝わってるかも知れんが、スティード家ではさらなる特性を発見したのだ」
「それは?」
「衝撃骨髄硬化だ」
「衝撃骨髄硬化?」
聞き慣れない言葉にガルは首を傾げる。
「衝撃骨髄硬化とは、そのままの通り衝撃を受けることで如何なることでも折れない程に固くなる。反大蛇にはその特性があるのは聞いたことがあるだろ? 硬化と同時に収縮することによってそれが発揮されるんだ」
「ということは」
「想像通りだろう。お前さんが武器と循環させる魔力を調節することによって剣先の固定ができる──つまりはお前にのみ、その出し入れが自由ってことだ」
その言葉にガルは呆れを浮かべる。
「それは凄い事だ……だが、それにはそれ相応の運用が出来ないと意味をなさないはずだ。それで、盾の方はどうなんだ?」
「聞いちゃうのか!? なあなあ聞いちゃうのか!?」
「おい、お前の割と静かなキャラは何処に行った……?」
「取り敢えず手に持つ傘を開いてみてくれ」
「はいよっ──ウオッ!?」
ガルは素直に手荷物傘を広げると、目の前でワイバーンが翼を打ったような風圧が体を襲う。
そしてガルの手に現れたのは、中骨、外骨全てが精密に組まれた加工されし反大蛇の肋骨。さらに中心に通る一本の光を思わせる鋭い銀筋。
その眺めにガルは見惚れていると、不意にトールから言葉が掛かった。
「少し小屋の外に出て、それを前に構えといてくれ」
そう言うと何やら準備を始め出すトール。
取り敢えず言われた通りにガルは外に出て傘を前方に構える。
「何をやるん「いくぞ!」だtグオッ!?」
いきなり魔道具を持ち出して、火の魔法を発動してくるトールに、ガルは驚く。
「よし次」
今度は水の魔法。
「ほらッ」
その次は風の魔法。
「最後ッ」
最終的に土の魔法と、トール基本四属性の魔法全てを傘にぶつけた。
「お前いきなり何するんだ?」
「Aランクモンスター」
「……何だいきなり?」
「一点集中狙いの魔道具だが、これはAランクモンスター級の魔法の威力だ」
「何が言いたい……あっ」
ガルはトールの伝えたいことを察する。
慌てて傘の表面を見ると
「ッ! なっ、何ともなって無い……」
「だから言っただろう? Aランクモンスター級の魔法では、その傘は全くと言って良い程問題ない。守りにおいても国の聖騎士が持つような盾さえ優に上回る」
(これはとんでもないな。傑作だ……)
「……スゲェ。……スゲェよ、これは。聖剣なんて、もしかしなくとも比じゃないかもしれない。ここまでくると重要なのがあるだろ」
「重要なのとは?」
「……名前、名前だよコイツの!」
ガルの興奮しきった顔に、若干圧倒されつつもトールはすました笑顔で喋り出す。
「こんな話を知ってるか? あらゆるもの全てを貫く矛と、あらゆるもの全てを防ぐ盾。ガル、この二つには何が生じる?」
「どちらか一つがそうではないというズレだ」
「そう、攻防共に絶対なんてありはしない。そういうズレの事をかの人は『矛盾』と言った。だが……」
そう言葉を切り、トールはガルの手に持つ傘に目をやる。
「それが一つの武器に纏められたら?」
目を細めて問うように言うトールに、ガルは刮目して喉を鳴らす。
「それは、その矛盾の概念をぶち壊す事になる。それが今、目の前に存在するのだ。だからその開閉する武器の名前……」
トールは空を見上げ、太陽に向けて手を伸ばす。
「その新たなる花の銘は……
そして、その太陽に向けた手のひらを握り締めてこう言った。
握り締めた動作は武器制作の終了を、そして今ここに新たなる芽生えを告げる。
────『新華』」
おっさん、もとい同い年のドワーフは格好つけたいお年頃のようであるらしい……
中途半端ですが、見直していきたいので完結にさせて頂きます。
改訂版はいずれ書いていこうと思いますので、その時にでも目を通していただけると幸いです。




