ゴースト編 2
―――ヒュィィィィィィィ・・・ン!!
Que Sera Artificial Intelligence
『キューキューブ起動。』
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侵入者を検知
DP220
RP282
MP780
タイプ:精霊管理複合多層型
構 成:全6層
状 態:蘇りかけの初級ダンジョン
称 号:魔術学院の試験コースにも採用されている
危険度:レベル2【F級】
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―――パーパーラ、パパーパ、パパパー♪
【STAGE 6ー5 かねの においが する・・・
王国の騎士たち ぷれじあ Lv.⁇ 】
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――カシャカシャカシャカシャ…カシャン
静穏性などこの装備にはない
気付かれてもいい
街に入れば民から近づき
敵地に入れば民がひれ伏し
洞窟に入ればモンスター達から逃げ出す装備
鎧
「小隊長、こんなところに何があるというんですか?」
《 西王国の騎士、パーティー(トリオ) 》
危険度☆☆
属性:①物理
②ランダム
特徴:王国騎士の装備
アドバイスQ:「しっかり堅い、しっかり強い。平均点、及第点、偏差値50。普通って普通にスゴイのです。キングオブスタンダード、王国騎士トリオの登場だ。」
――SP1~300
――MP1~300
――HP1~300
TotalPointMedian:222
ルーマンの声には疲労が混じっていた。
それもそのはずである。
我々西の騎士たちは連日の敵襲に身構えていた。
緊張の糸が張り詰める中、民たちからも降伏を願う声が聞こえたという。
もはや何かを見失っていたのだ
我々は。
「ポータスは分かるか?俺の目的が。」
「いいんや。分からん。」
幼馴染のポータスは首を横に振る。
「今のところ疲れるだけだ。こんな寂れた洞窟にフル装備で、ガッチガチに全身を固めて、現れるのは子供のスライムくらいなもんだからな。殊更さっぱり分からん。」
「目の付け所は流石だなポータス。俺の叔母様は騎士ならば敵を知れと教えてくれた。このダンジョンには最近コボルトも出るというのだ。そして偶々耳にした学生の噂ではゴーレムまで出るという。つまりこの廃ダンジョンには魔力が溜まり始めていて、コボルトたちが集めた食料や宝が転がっている可能性があるということだ。コボルトは使えるものをコレクトする習性がある。それを自身の住処・引っ越し先の近くに置いておくわけだ。」
「ガラクタばかりだろ?」
「ガラクタばかりとは思わない。脳みその発達した奴らの舌は肥えている。それにここいらは元々旧ウェスティリア王国の地下牢獄がある場所だ。期待は出来る。それにワインを持ったコボルトが踊っていたという目撃情報もある。」
「ははは、ワイン?まさかな。」
「ポータス、知ってるだろ?俺は冗談も少ないが、嘘も少ない。」
「そんなことが…?しかし我々は王国軍の騎士です。バレたらですね法律に抵触して懲戒処分の可能性が…」
「あぁ。プレジーアくん。騎士道とは責任ですよ?ってな。」
「分かっているさ・・・だからここで話している。それに例えバレたとしても、この鎧が我々を法律からも守る訳だ。我々は王国の騎士隊。そしてここは、戦略上重要な防衛拠点。」
「なるほどなぁ、プレジア。お前は昔から頭がキレる。例えここに、ナニかが、あったとして。それを洞窟の外に持ち出して、俺たちが鎧を脱ぐまでの間。バレたとしても重要拠点の偵察業務だと言い張れる訳だ。特に先の事件【キリエ大幹部の襲撃事件】があったいま、宝の眠る”ダンジョン”であろうと俺たちはここに立ち入る資格がある。」
小川の流れる穴倉を行く。
入口の灯りが徐々に薄まっていき、俺たちはそれぞれのランタンを付ける。
それぞれを導く光がこの洞窟を照らす。
流れる水は透き通っていた。
「なるほどです。私たちの行動について、騎士長から調査依頼をかけられても、魔術学院は防衛の要。ここを偵察することは重要な仕事だと言えます。」
「あぁ。例え何もなくとも、休みを返上して仕事をした俺たちの評価はあがる。しかし、暫くは食っていけるような何かがあれば、俺は直ぐにでも騎士を辞めるだろう。」
「小隊長・・・」
ルーマンの顔は鉄仮面。
その表情は見通せない。
「分かります。」
しかし俺たちの心は一つにあった。
「そうだな。」
疲れた脳みそでボンヤリと想像する。
世界を分析しながら、そこにある最上の幸福を探している。
ここはいい。
「コボルトを見つけたら生け捕りにしろ。肉を抉って情報を聞き出す。敵兵と同じようにな。」
豊かな土壌。
小川の近くではコケ植物が自生する。
川魚も入り始めている。
コケを食べる魚は美味い。
あてにしてワインを持ったコボルトの姿が目に見えるようだ。
コボルトが住むにはうってつけだろう。
くすねた肉を焼く場所が、あつめた希少な鉱石が、俺たちを待っている。
ここには金のにおいがする――。
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「オイラ何でも知ってんだぁ、ここらなら安全だな~!」
「そうなんだ。」
コボルトに這いよる魔の手。
そのうなじには冒険者の銀の刃が迫っていた。
――シュッ!!
横一閃。
肉を切り裂く音が走る。
飛び散る体液。
一つの命が、そこで散る。
「ん、何かしたか~?」
「わるい。毒蜘蛛が付いてた。ランチには関係無かったか?」
「ヒェッ、とんでもねえ。オイラ昔、毒蜘蛛に噛まれて倒れたことあんだ。このダンジョン毒蜘蛛もいるんだなぁ~。」
「何でも知ってるんじゃなかったの・・・?」
「新しく来たものの名前は分かんないなあ。なぁベッチ、彼女の方はなんて名前なんだ。」
ランチはうなじを掻きながら聞いた。
{第一層、未整備地区}
コア:設定なし。
出現テーブル:設定なし。
ゾーンネーム:設定なし。
「そっか、まだ紹介していなかったね。」
ベッチは辺りを警戒しながら進む。
レンガ造りの暗い洞窟。
重々しい檻と残った足枷。
「彼女の名前はニワミ。ランチうなじが痒いのか?ニワミ、ランチを消毒してやってくれ!」
確かに、ダンジョンに詳しい者でしか辿り着けないであろう寂れた廃牢獄の裏口を背に、灯りで照らしたランチの背中を追っていく。
「いや、え。いやいや、当たり前のように進んでるけど、その子モンスターでしょ?まぁ…するけどさ消毒、するんだけどね消毒。」
「紅毛毒地下蜘蛛。体毛に隠れた針からも毒を打てる、ウニみたいな毒蜘蛛なんだ。嚙まれてないから毒の量は少ないはずだ。」
「聞いてないご様子。」
ニワミの手つきは遠慮ない。
薬草の絞り汁を塗られたランチは高い声を漏らしながら肩をすくめていた。
「聞いてるよ。僕は小さい頃、飼っていた愛犬と牛を追いかけていたんだ。大きくなってから、その愛犬が所謂モンスターであることを知った。だから僕は、人並み以上にモンスターと接することに抵抗が無いんだと思う。」
「オイラは野犬に殺されかけたことあるな!」
「そうなんだ。いや、そうだよね。モンスターだって生物だ。生態ピラミッドの中で生き抜く純粋な生き物。それよりか、イジメとか盗みとか、仲間同士で悪事を働く人間の方がよっぽど僕にはモンスターに見えたよ。そんな人間と仲良くするなら、僕はランチのことをもっと知りたい。」
「オイラは馬肉が好きなんだけど、ケンタウロスとも仲が良かったんで変な目で見られてたな!しかしさっきの話だけどさ、ベッチたちはどうして逃げなかったんだ?」
――キキィーッ、と甲高い音を立てる扉を開き、ランチは奥へと進んでいく。
蜘蛛の巣すらも徐々に減っていく、無機質な牢獄へ。
「その理由は、命を懸けるにはくだらないかもしれない。」
首をかしげるランチ。
ため息をひとつ吐いたベッチは、顔をあげて答える。
「試験を受けているんだ、僕たちは。」




