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ダンジョン作りにはSayがいる!!‐この王道ダンジョンメイクには「何か」が足りないらしいのです。‐  作者: 西井シノ @『Eスポーツ活劇~電子競技部の奮闘歴~』書籍発売中
{共生編}☆☆☆☆

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35/38

ゴースト編


そのゴーレムは通常の生息域を逸脱して現れた。

彼らの主食が、より深い層の泥土と言われているからだ。

つまりこんな浅い場所で、一体を倒したのがやっとだった。

僕の疲労はピークに達している。

運が悪いというか何というか。

今回のミッションでは最悪のスタートを切ったわけだ。



「酷いケガ……!!」



上腕からは血が染みついた服の裂け目から肉が見えている。



「終われないこんなところで。進まなくちゃ。」



「でも…!!」



「…ずっと虐げられてきたんだ。

 似ているっていう理由だけで。

 だからあの時、誓ったんだ。

 でも僕は弱かった。

 世界を変えられるような力は無かった。

 だからここで一旗あげて、故郷を変えると決めたんだ。

 自分を変えるんだ。

 そのためにここに来た。

 こんなところで終われるか。」



その時、岩陰からは人型の影が見えた。



「モンスター??」



通常この場所に現れるのは、洞窟へ向かって流れる小川の水を飲む種族。

ずっと潜んで待っていたんだ。

もしかしたらゴーレムを誘導したのはアイツらかもしれない。

そうか。

モンスターがモンスターを利用する可能性もあるってことか。

ゴーレムから喰らった打撃で意識が遠のいてく。

身体と瞼が重く揺れる。



「ちくしょう。もう体力が。」



―――パンパンパンパン!!!



訪れる人為的な音が、このダンジョンに響き渡る。



「感動した!!」



「え?」



「オイラと…… 一緒だ!!」



拍手をしながら

涙を流して近づいてくるコボルトがそこにはいた。





―――――――――――――――――――

{第1層{審判しんぱん巨人牢きょじんろう

種別:キルゾーン

効果:①土精霊の遊び場(土魔法の消費魔力量を減少、☆ユビキタス使用可)

   ②地下ダンジョンの宿命(侵入者の視界を悪化、侵入者の魔力感知を悪化)}


汗が止まらない。

茹だる熱さに体力が奪われていく。

かつてない死闘。

無限の攻防。

終わらない戦い。

集中力が研ぎ澄まされていく。



「うぉぉおおおおおおおおぉぉりゃああああ・・・・!!!」


「静かに出来ないのかしら。」



Enemy analysis completed.


 《 レンガ 》

危険度…☆?

種族:種族…ですか?

属性:土属性

特徴:上手に焼けました!!

アドバイスQ:「品質は【A級】です。ヤッター><」


「マスター、レンガブロック20個生成のボーナスによりRP+1となります。おめでとうございます!!」


「きっつ・・・!!」


「これをあと20セット、200個でレンガゴーレム(MPモンスターポイント+200~)の最低必要数になりますね。さー、ファイトファイト!!」


「きちー!!」


「楽しそうね。私もやろうかしら…」


俺ことタンテ・トシカは、10歳になった。

ルたるちゃんは図書室からパクった後に添削と称してモンスターポイントなどの書き込みを入れた自作の本【ルタル秘伝>モンスター☆名鑑】を手にジト目を浴びせてくる。

関わらないでおこう。

満遍なく教えたのちに、やっぱやーめた。と、放り出されるのがオチだ。



{レンガ}とは・・・

粘土や頁岩、泥などの土質材料を型に入れて乾燥・焼成することで作られる直方体の建築材料である。1層と2層の地下牢エリアは、丈夫なレンガ造りを基調としている。3層にある教会も同様であり、地下ダンジョンの修繕にはレンガが欠かせない。


しかし目的はダンジョンの修繕にあらず。

高品質な手作りレンガ(品質、C級以上)が必要なモンスター生成。

すなわちゴーレム作りにある。

無論、落ちてるレンガでゴーレムを作れないわけではなくて、1層2層にまたがる地下牢獄エリアでは大量のレンガを拾うことが出来る。

だが、そこで生成したモンスター{地下牢ゴーレム(MP50)}は、通常のゴーレムと比べて堅く耐久力に優れている反面、脆い部位が発生しやすく弱点が多いという欠点がある。それに大量とはいえ資源は有限である。集めるのも大変だし、壁を無理やり壊すわけにもいかない。そこで無限レンガ生成地獄へと足を踏み入れたわけだ。

けれどもコイツを一体でも作れれば、人類が喉から手が出るほど求め続けてきた人工マンパワーが完成する。これを奴隷というのかロボットというのかモンスターというのか。それは先の歴史が教えてくれるだろう。それにここでは土魔法の消費魔力を抑えることが出来るのである。キルゾーンならぬ、生きるゾーン。いやつくるゾーン。あるいはジェネレートゾーン、クリエイトゾーン、工房、職人の広場などなど呼称は多数。とかく今はレンガ造りに邁進している。単純作業に見えるだろうが、材料の粘土から魔法で不純物を取り除く過程や焼成の作業にはとても神経を張る。これもすべて、高品質な【魔素入りレンガ】のために。




ーー【ルタル秘伝>モンスター☆名鑑】ーー 

ゴーレム群より抜粋~


《ゴーレム 小~大》

素材:定義されてなく、寄せ集めて生まれる。

MPモンスターポイント:10~800

特徴:バラバラな素材を寄せ集めるため崩れやすいことが多い。素材によっては豊富な魔力量を内在することもある。

アドバイスR:「はやい、やすい、うまい!!ゴーレムバーガー!!たまに異物混入。時々ゴミ。」


ーーーーーーーー 


《ストーン・ゴーレム 小~大》

素材:硬い岩石で構成されたゴーレム

MPモンスターポイント:10~800

特徴:石材による構成比率が高くなったゴーレム。通常、普通のゴーレムより強く耐久力がある。

アドバイスR:「ゴーレムを作るときは狙って作れる。狙えるなら狙ってる。」


ーーーーーーーー 


Kキングブリック・ゴーレム》

素材:S級レンガベース×???(+捧げモノ)

MPモンスターポイント:???(←1000以上は余裕で行くわね。レイヤーボス級。)

特徴:ダンジョンの奥地に生息しているとされる。非常に希少でデータが少ない。

アドバイスR:「知能を有しているわ。賢い子。」


Hハイブリック・ゴーレム 小~大》

素材:A級レンガベース×200以上

MPモンスターポイント:400~800

アドバイスR:「よくある勇者パーティー4人を一旦全滅させる力があるわ。使える。」


Mミドルブリック・ゴーレム 小~大》

素材:B級レンガベース×200以上

MPモンスターポイント:300~600

アドバイスR:「真面目。がんばってるで賞。いい子。」


Lローブリック・ゴーレム 小~大》

素材:C級レンガベース×200以上

MPモンスターポイント:200~500

アドバイスR:「このバカ、親戚のお婆ちゃんの壺を食べちゃった。愛すべきポンコツね。」


ーーーーーーーー


《地下牢ゴーレム》

素材:地下牢獄のレンガベース×50~100

MPモンスターポイント:100~200

特徴:侮るなかれ、小さくも力があり俊敏である。


《看守長ゴーレム》

素材:地下牢獄のレンガベース×200~500

MPモンスターポイント:400~800

特徴:地下牢に囚われた記憶から生まれる能力の高いゴーレム。写真では右手に檻を圧し折った武器を掲げている。

アドバイスR:「自然では長年生息していた地下牢ゴーレムが看守ゴーレムに派生したあと更に経験を積むと、稀にキャプテン的ゴーレムが生まれる。この本には載ってないけど、外部から来たゴーレムが地下牢ゴーレムの群れに混じると、囚人ゴーレムに派生するわ。端的に言えばイジメね。」


ーーーーーーーー ーーーーーーーー ーーーーーーーー 


土は多量にある。

重要なのは木材であり、運搬するにはダンジョンの外に出る必要がある。

ルタルちゃん曰く、光眠石の下にあり地下水の湖と小川がキレイに流れている【第四層】を開拓できれば木材系の植物モンスターを自生させられる可能性があるとのこと。

すなわち現状では、危険なお家の外に足を運び。かつ、いま行われているこの訓練が終わってくれる必要があるのだ。


――ブゥウウウン・・・ブゥウウン・・・


竈の横に転がした水晶が揺れる。


「タンテさま、第一層の監視室から着信です。」


「え?」


水晶には焦り散らかしたサビィーの顔がドアップで映っていた。


「マスタァーどうしようよ!!ランチが訓練生を助けちゃってるー!!」


次いで映し出された映像には、拍手をしながら生徒へ近づいてくランチの姿があった。


「あのバカー。戻ってこーい。」


「どうしようよー!!」


サビィーは、ミハエルと俺たちに着いてきてくれたコボルトの女の子だ。ランチは彼の日の紛争で死んだと思われていたコボルト一派の仲間である。その他、手先が器用なサナリムと次期村長候補で頭の良いラントがいる。

一方、ケンタウロスの族長に育てられたランジとその妹であるサヤは、ダンジョンに定住することを選ばなかった。

彼らは自由を重んじる種族である。

別れを選ぶ者がいたっていい。

志を共にしていればね。


「オルテガにこういう時の対応を聞いて。ミハエルにも伝えて。」


「ミハエルはもう飛び出ていったよ!!オルテガにも繋がってるよー!どうしようよー!!」


「仕事はえー。」


さすがサビィーだ、マルチタスクの出来る女。

脳筋パワー系力持ち大食漢のランチとは相性がいい。


―‐テルンテルン♪


「監督官どのー?」


「見てますよ、サビィさん。両名の安全は無論念頭に、試験要綱に乗っ取ればモンスターに好かれて共にダンジョンを攻略した場合も点数が与えられることになっています。差し支えなければ、このまま見守ってあげましょう。ご協力に感謝します。」


「へえー。」


「だってよー、どうしょうよー!?」


「任せるよ。」


「えー!!じゃあ・・・」


俺は竈で煌々と燃える木炭へ目を移す。

もうすぐ無くなりそうである。


「放任主義なのですね?」


「そうか?誰かさんに似たのかな。」


「誰よそれ。」


理想は人間とモンスターの両方にダンジョン運営の管理権を持たせることだ。そしてそれを包括的に管理し暴走させないマザーコアを持つこと。人間にとって有益だと思わせれば、我々モンスター側にもおこぼれがやってくる。イや俺モンスターチガウ。


実際、地下牢に至るまでの洞窟エリアには人間たちが配置したスライムが自生しはじめた。小川が流れている湿度の高い場所だったことも要因としてある。

既存のLブリック・ゴーレムや地下牢ゴーレムなんかは、地上の余りレンガを借りたものだ。オルテガに用意させたレンガを使って教会を修繕し、今は臨時でコボルトたちの寝床となっている。ルタルちゃんが選んだある程度の身バレというリスク、そこで生まれたリターンはしっかりと全回収しなければならない。


――ブゥウウウン・・・ブゥウウン・・・


竈の横に転がした水晶が揺れて光る。


「どうしたのサビィー。」


「大変!大変!大変だよー!!」


「またまたぁ…」


「訓練生とランチの姿が見えなくなっちゃったよー!!助けてマスタアァー!!」


なるほどー。

なにそれー?

俺はすかさず上着を羽織り、大鎌サイズのつるはしを担いで走る。

1層までの道のりは得意だ。

移動RTAなんぞがあれば世界一位を取る自身がある。

なぜならば、通学路だから。


「かー、焦ってらあ。大事な時は過保護さんなんですよね。誰かに似たのでしょうか?ルタルさま。」


「誰よそれ。」


「ママ。」


「ママじゃねぇーよ。」


























{ダンジョンステータス}(コアが無いため、城内分は未記載)

内部コア(搭載OS:Que Sera Artificial Intelligence)

研究レベル:2

DPダンジョンポイント :220

          (訓練生が魔法など排出)

MPモンスターポイント :780

          (子コボルト×4=80

           コボルトメイジ×1=150

           野菜系モンスター=300

           ゴーレム系モンスター×5=250

           スライム系モンスター=100)

RPリソースポイント  :282

          (コボルト宅、迷宮罠、光眠石光源化

           竈、農具、生活水路、学院拝借物など…)

分 類タイプ:精霊管理複合多層型

構 成:全6層

状 態:蘇りかけの初級ダンジョン

称 号:魔術学院の試験コースにも採用されている

危険度:レベル2【F級】

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