95.兄が見ている世界 —期末試験⑤—
わたしは、前から気になっていた事を兄に聞いてみた。
『あっくんってさー、確実にまり姉の前だとIQガッツリ下がるよねー。
まり姉が何か変なものにハマったら、あっくんまで一緒に変な方向へ行きそうなんだけど。』
すると兄は、
『まりちゃんとだったら、道化として振る舞うのもありかもねー。』
と答えた。
わたしは、
「こりゃダメだ」
と思い、ため息をついた。
バスを待っている間も、相変わらず兄はまり姉の膝でうつ伏せ膝枕中だ。
まり姉は、もう諦めているような顔をしている。
ありさは頬を膨らませていた。
すると、
『グゥ〜……』
と小さな音が鳴った。
どうやら、まり姉のお腹が鳴ったらしい。
まり姉の顔がみるみる赤くなる。
兄は深く息を吸うと、満足そうな表情でまり姉の太ももから起き上がった。
まり姉はさらに顔を赤くし、頬を膨らませた後、軽く兄を睨んだ。
兄はそんな二人を見て、
『ご飯食べに行こ!』
と言った。
まり姉は軽くため息をつき、
ありさは嬉しそうに、
『うん。』
と答えた。
兄は二人の返事を聞き、満足そうに頷く。
そして、
『じゃあ何食べようか?
はらぺこ、まりちゃん。』
と言った。
まり姉は少し眉間にしわを寄せ、
『私は何でもいい!』
と答えた。
兄は、
「言ったな?」
そんな顔をしている。
『じゃあ何でもいいなら、最近できた二郎系ラーメン屋さんにしようか。
にんにくマシマシで。』
ありさは軽くまり姉を睨むと、
『ねぇ、あっくん。
私、この前作ってくれたパスタ食べたい。』
と言って兄にくっついた。
兄は頷く。
『ありちゃん、分かった。』
『まりちゃんがラーメン食べてる間に、二人で材料買いに行こうか。』
ありさは嬉しそうに、
『うん。』
と答える。
一方のまり姉は、
『はあ?
何で私だけ一人でラーメンなの?』
と怒った。
兄は不思議そうな顔をする。
『何でもいいって言わなかったっけ?』
『安心して。
ラーメン代は払うから。』
本人は、
「何かおかしな事言った?」
という顔をしている。
まり姉は頭を抱えた。
『あーもう!
私が悪かったから、みんなで行くよ。』
そう言って、ありさから兄を引き離した。
そして三人で買い物へ行き、そのまま家へ帰った。
兄が料理を始めると、まり姉が思い出したように聞く。
『そう言えば、まきちゃんとの生活はどうだったの?』
『休みの日は一緒に生活してたんでしょ?』
『久しぶりに会ったら、まきちゃんふっくらしてたし。』
兄は少し考えてから答えた。
『楽しかったよ。』
『ふっくらしてたのは、毎食ご飯をおかわりしてたからかもね。』
そう言って少し笑う。
わたしは、
ああ、まきの家での色々な出来事を思い出してるんだろうな。
と思った。
まり姉とありさは興味津々だ。
ありさが身を乗り出す。
『何があったの?』
兄は少し考えてから答えた。
『最初は遠慮がちだったんだ。』
『試食で満腹になっても言えなくて、吐いちゃった事もあったし。』
『でも最終的には――』
兄は少し誇らしそうな顔になる。
『オナラで返事をするくらいには打ち解けてくれたよ。』
まり姉とありさは顔を見合わせた。
何がどうなって、そんな仲になるんだ?
そんな表情で首を傾げている。
すると兄が、
『ご飯できたから食べよう。』
と言いながら、料理をテーブルへ並べ始めた。
ご意見 ご感想 よろしくお願いします。




