83.兄が見ている世界 —料理対決24—
ありさが選んだクジは、兄が予想した通り『パスタ』だった。
まきは、驚いている。
一番可能性が高いのはパスタと言われていたからだ。
まきの反応を見たまり姉は、
「クジを全部見せて」
と言って、全てのクジを開いた。
兄が書いたクジは、全部パスタ。
まり姉が書いたクジは、パスタ、オムライス、チャーハン、親子丼、カレーライスだった。
六〇%がパスタのクジって事ね。
だから兄は、パスタの可能性が高いと言ったのか、とわたしは納得した。
まり姉は、
「あっくん、これどういうこと?」
と問う。
ありさも、まきも、兄の答えを待っている。
兄は、
「五枚とも同じメニューを書くのは禁止なんて、ルールに無いよ。
◯メニューは、当日クジで決める。
→まりちゃん五枚、俺五枚、それぞれ好きなメニューを記入する。
※一枚につき書いて良いのは一品とする。ただし、家庭の教科書に載っているメニューから選択すること。
だよね?」
と平然とした表情で答える。
まり姉は、言い返せない。
ありさとまきは、唖然として言葉もない。
兄は、
「メニューも決まったし、買い物に行こう。」
と声を掛けた。
◯イ〇ンで食材の買い出しを行う。
なので、まり姉、ありさ、まき、兄の四人で買い物に出かけた。
◯使っていいお金は一人千円以内とする。
ただし、今回使って良いお金に調味料は含まれない。調味料は別途購入し、別会計とする。
まり姉と兄は、それぞれの買い物カゴに自分の食材を入れ、ありさとまきが持っている買い物カゴに調味料を入れてレジを通す。
まり姉は九百八十円。
兄は二千八百円!?
……と思ったら、千円???
買い物から戻り、兄が購入した食材を見ると、まり姉は、
「これは絶対、千円じゃ買えないでしょ。反則でしょ!」
と兄を咎める。
兄はレシートを渡して、まり姉に見せた。
まり姉は、
「二千八百円から優待値引きとポイント値引きで、千円?」
と驚く。
兄は、
「使っているお金は千円だよ。」
と答える。
まり姉は悔しそうだ。
ありさが、
「流石に、やり過ぎなんじゃ……」
と言うと、
兄は、
「ありちゃんに美味しいものを食べてもらいたくて、ルールの範囲で努力するのってダメなのかな?」
と、ありさに言った。
ありさは、
「いいこと……だね。」
と返事をした。
まきは、唖然として未だに言葉も無い。
兄は、
「さあ、作ろうか。」
と言った。
そう言うと、まり姉と兄は料理を作り始め、やがて完成した。
まり姉が作ったのは、キノコのクリームパスタ。
兄が作ったのは、カルボナーラ。
生クリームもチーズもふんだんに使用されており、麺も生麺だった。
モチモチ度が違う。
まきは、あのトラウマもあるが、食べたそうに生唾を飲んだ。
兄が、
「どっちから食べてもらうか、じゃんけんしよう。」
と言い、じゃんけんをした。
兄が勝った。
まり姉がグー、兄はパーだった。
兄は、
「俺が先行!」
とまり姉に言い、
「まきちゃん、ありちゃんに目隠しをして連れて来てくれるかな?」
と、まきに伝えた。
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