82.兄が見ている世界 —料理対決23—
料理対決当日の朝、兄は朝のお務めを終え、家を出た。
学校に向かうバスを待っていると、まり姉とありさがやって来た。
兄は、まり姉を見ると嬉しそうに笑顔になった。
『まりちゃん、試験お疲れ様。』
まりは、
『聞いたわよ。随分と、まきちゃんと宜しくやってたみたいじゃない。』
と疑わしそうな目を兄に向けた。
兄は、何も悪いことはしてませんと言わんばかりの表情で、
『いっぱい試食してもらって、アドバイスは貰ったよ。』
と答えた。
まり姉は、聞きたいのはその話じゃないんだよなー、という顔をした後、
まあいっか、という顔になった。
兄が、
『試験どうだったのか、教えてよ。』
と言うと、
まり姉は自信ありげな顔になって、
『しっかり回答できたつもりだから、大丈夫だと思ってる。』
と答えた。
兄は、自分の事のように喜んだ。
バスが来て、バスに乗り込んでも、まり姉と兄の会話は続いている。
今まであまり会話出来なかった時間を埋めるように。
その間、ありさはまり姉と同じように兄の隣に座っているのに、なかなか話を振ってもらえず拗ね始めた。
そのタイミングで兄が、
『ねぇ、ありちゃん。今日はお腹空かせて来てくれた?』
と聞いた。
ありさは不意を突かれて一瞬慌てたが、
『うん。朝から食べてないよ。』
と答える。
兄は、
『ありちゃん、今日の体調とかは何も問題なし?
胃もたれとか、何か不調はある?』
と聞き始めた。
ありさは、気遣ってもらえた事に嬉しくなっている。
だが、まり姉は、兄が既に情報収集を始めたのかと眉間にシワを寄せた。
ありさが、
『今日は、体も胃袋も準備万端だよ。』
と笑顔で答えると、
兄はニッコリともニヤリとも言えない顔で、
『安心したー。
何かあった時は、我慢せずに言ってね。
そうだ。チョコレート持って来たんだけど食べる?
甘めのコーヒーも買って来てるから、少し摘んだ方がいいよ。
お腹が空き過ぎたら具合が悪くなることもあるし。』
と言った。
ありさは嬉しそうに、
『ありがとー。
ちょうど食べたかったんだー。』
と言って、ちびちびと食べ始めた。
まり姉は、これが作戦の一環であることは理解しているが、結果にどのように結びつくのかは気付いていないようだ。
学校に到着し、家庭科室へ入る。
既に、まきは家庭科室で待っていた。
兄が、
『まきちゃん、お待たせ。』
と笑い掛けると、
まきは、
『ほんのさっき、到着したばかりです。』
と答えた。
兄が、
『早速始めよう。』
と言って、兄はコピー用紙を切り始めた。
切り終わると、
『はい、まりちゃん。』
と言って紙を五枚渡した。
兄も紙を五枚持ち、それぞれ作りたいメニューを記入する。
そして、分からないように折り曲げ、テープで留めた。
兄が、
『まきちゃん、お願い。』
と言うと、
まきが、
『はい。』
と返事をして、クジをシャッフルした。
まきが、
『ありさ先輩、お願いします。』
と言うと、
ありさが前屈みになり、クジを選び始めた。
わたしは、
相変わらず、おっぱい大きいなー。
と、どうでもいい事を思った。
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