70.兄が見ている世界 —料理対決⑪—
家に到着すると、早速料理が始まった。
いつも通り、
兄が作り、
まきが試食する。
まずは教科書通りのチャーハン。
次に、ご飯と卵を先に混ぜてから炒めたチャーハン。
食べ比べた結果、
まきは後者を選んだ。
次は具材の比較だ。
チャーシュー、
ハム、
ウインナー、
エビ、
しらす。
それぞれをメインにして作っていく。
まきが選んだのはチャーシューだった。
さらに、
長ネギ、
細かく刻んだニンジン、
コーン、
高菜。
様々な組み合わせを試していく。
まきはコーンを選択した。
こうしてチャーハンのレシピも完成した。
兄は満足そうに頷く。
『よし。』
『明日の練習は親子丼にしよう。』
すると、まきが疑問を口にした。
『主食系ばかりですけど、対決でおかず系が出る可能性は無いんですか?』
『ルールでは教科書に載っている料理ですよね?』
兄は頷いた。
『まりちゃんが得意なのは主食系なんだ。』
『練習が出来ない状況で、わざわざ得意じゃない料理を選ぶとは考えづらい。』
『だから俺は主食系だと思ってる。』
そして指を折りながら、
『パスタ。』
『オムライス。』
『チャーハン。』
『親子丼。』
『カツ丼。』
『カレーライス。』
この六種類かな。
と言った。
そして少し考え、
『その中でも、一番可能性が高いのはパスタだと思ってる。』
と付け加えた。
まきは、
『ほうほう。』
と頷きながら、
チャーハン作りで余ったチャーシューやエビを食べている。
わたしは、
よくもまあ、こんな事に時間を費やせるなあ。
と少し冷めた気持ちになった。
すると兄が、
『まきちゃん。』
『よし、やろうか。』
と言った。
まきは、
『へ?』
と首を傾げる。
まだ余った具材を食べている。
兄は笑顔で言った。
『期末試験の勉強だよ。』
まきの顔が一瞬で真っ青になった。
みきの様子を見ていたら、そうなる気持ちも分かる。
でも勉強は学生の仕事だ。
良い結果を出したいなら努力するのは当たり前だと、わたしは思う。
まきは必死に抵抗する。
『教科書とか持って来てないですし……』
『次のお泊まりの時に持って来ますから、その時に……』
しかし言い終わる前に、
兄が笑顔で言った。
『大丈夫。』
『まきちゃんと俺、同じ科だから教科書あるよ。』
『安心して!』
まきは目を丸くした。
そして、
がっくりと項垂れた。
勉強が始まり、
しばらく時間が過ぎる。
夕方になると、
兄は席を立った。
『夕方のお務めに行ってくるから。』
『まきちゃんは、ここまで解いていてね。』
まきは涙目になりながら、
『はい……。』
と答えた。
兄を見送った後も、真面目に問題を解いている。
そして兄が戻ると夕食になった。
今日の献立は、
ご飯、
味噌汁、
サラダ、
鶏の照り焼き。
まきはしっかり食べ、
それぞれ一回ずつおかわりした。
兄はそんな様子を見ながら、
どこか安心したように微笑んでいた。
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