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67.兄が見ている世界 —料理対決⑧—

まきの荷物を兄と二人で持ち、家へ帰った。


離れへ案内すると、兄はこの家で立ち入ってはいけない場所や、朝晩二回、先祖の仏壇や墓参りをしている事を説明した。


そして、

『まきちゃんは、どの部屋を使う?』

『亜衣の部屋を借りる?』

と聞いた。


まきは迷わず、

『私は先輩の部屋で問題ありません。』

と答えた。


いやいや、問題あるだろ!

年頃の女の子だろ、まき!

万が一、万が一があるかもだろ!

と、わたしは思った。


兄は気にした様子もなく、

『わかった。』

と頷いた。


そして、

『今日はオムライスを作るから食べてほしい。』

と言った。


まきは昨日のパスタを思い出したのか、少し身震いする。


兄はその様子を見て、

『もうあんな事にならないように気を付けるから安心して。』

と言った。


まきは顔を赤くしながら、

『はい。信じています。』

と答えた。


お前ら、本当に同じ言語で会話してるんだよな?

意味が通じているような、通じていないような……


兄は台所へ向かった。

まずは基本のオムライス。

次は、卵を柔らかく仕上げたオムライス。


さらにライスの種類やソースを変えながら、まきに試食してもらう。


まきは、

『ガーリックライスが好きです。』


『カレーソースは、もう少し辛くても良いと思います。』

と感想を伝えた。


兄はその都度メモを取り、調整していく。

そしてついにレシピが完成した。


一つ一つの量は少なかったが、試食を重ねたまきは満腹になったようだ。

横を向くと お腹がぽっこりにしてる。

比較的細身だから、わかりやすいなー

と、わたしは思った。


まきは、ソファーに座りお腹を撫でた。


兄は、

『少し休んでいて。』

『俺は夕方のお務めに行ってくるから。』

と言って部屋を出た。


戻ってくると、まきは眠っていた。

兄は苦笑しながら、

『まきちゃん、そろそろお風呂の時間だよ。』

と声を掛けた。


寝ぼけていたまきは、

『はい……』

と返事をする。


だが、そのまま兄の手を握り脱衣所に行き、服を脱ぎ始めた。


始め兄は、呆然としてたが、まきが下着姿になると慌てて静止して、

『違う違う。お風呂は一人で入るんだよ。』

と言った。


そこでようやく、まきは我に返った。

『きゃーっ!』

顔を真っ赤にして逃げていく。


その後、兄が部屋で日記を書いていると、まきが慌てた様子で戻ってきた。


兄が、まきの方を向くと、フェイスタオルを縦に当てただけのまきが立っていた。


『着替えを忘れていました……』

どうやら風呂場へ持って行くのを忘れていたらしい。


ビックリして、慌てて兄は後ろを向き、

『大丈夫。取ったら教えて。』

と答えた。


しばらくして、

『もう大丈夫です。』

という声が聞こえた。


兄が風呂へ向かおうとした時だった。


母が帰宅した。

『あら、篤志さん。お客様?』


兄は、

『はい。しばらく泊まりに来ています。』

と答えた。


母は、

『ご挨拶しても良いかしら?』

と尋ねる。


兄は、

『はい。』

と答え、自室の扉を開いた。


その瞬間――

『キャーーーーー!!』


部屋の中から大きな悲鳴が聞こえた。


どうやら、まだ準備の途中だったらしい。

さっきは慌てて着れていなかったナイトブラを付けている所だった。

兄は慌てて扉を閉めた。


今日は悲鳴の多い日だな、とわたしは思った。

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