47.わたしの入院生活①
今日はもう帰るように伝えて、わたしは自分の体の中へ戻った。
その時、兄が
『資格試験前だから、1週間くらい来れないから』
とわたしへ言う。
わたしは、また外の世界を見ることが出来ないのかーと思いながらも、
『頑張ってねー』
と返した。
兄が
『ありがと』
と言った後、
『あ……帰りに看護師さんに声掛けるから、それまでしっかり出してスッキリしてな』
と親指を立てる。
わたしが何か言おうとして顔を向けると、兄は悲しそうに笑って病室を出て行った。
『あんな顔されたら、何も言えないじゃん……』
そうぼそっと呟いて、わたしはため息をついた。
しばらくすると看護師さんが病室へ来て、わたしのオムツを交換してくれた。
『早めに気づいて連絡してもらえて良かった。時間が経つと、皮膚にもあんまり良くないからね』
そう言われたけど、目の前で出すのは流石に恥ずかしいんだよなー。
交換してもらうのもそうだけど、拘束されてるのも地味につらい。
下手に動くと、皮膚が突っ張る感じがして怖いし、無理すると裂けそうな感覚もある。
兄は、出来る範囲でオシャレをしようとは言っていたけど、その“出来る範囲”がわからない。
やっぱり傷跡は残るんだろうなー。
どのくらい残るのかもわからないし……。
わたし、結婚とか出来るのかな。
わたしのことを受け入れて、
この家のことも理解してくれて、
しかも傷跡まで受け入れてくれる人。
……なかなかハードル高くない?
飛び越えられないなら潜るかーとか思って、
ふと兄のことが頭をよぎる。
実の兄じゃなくて従兄妹だから、ギリセーフ……なのか?
学生生活で忙しいはずなのに、この頻度でお見舞いに来てくれてるし、
もしかして少しくらい脈が……
……無いな。
うん、無い。
あのおっぱいのありさですら、兄の心は揺さぶれてなかった。
いや、あれだけ物理的に揺れてたのに心は微動だにしないって。
それに、今まで兄の中で見てきた記憶の中に、
わたしへ向ける恋愛感情みたいなものは無かった。
仮に万が一、
わたしが兄の気を引けたとしても、
今度は、まり姉とありさの戦いに参戦するのか?
しかも、
誰かが失敗して出来た隙間に入り込むみたいな感じで?
……無理無理。
そもそも、目の前で脱糞したわたしを見ても平然としてるような相手に、
どうやって女として意識させるんだよ。
現実的じゃないし、
出来ないし、
やりたくもない。
……というか、
そもそもの原因を作ったと言っても過言じゃないお父さんは、転勤中で帰ってこないし。
お母さんに探りを入れるしかないのかな……。
あーもう。
早く誰か、お見舞い来てくれないかなー。
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