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234. わたしの新学期準備②

担任の先生は、


『私から確認したいことは以上です。


新学期からいつ登校するのか、教科書に変更があるのかなど、詳細が分かりましたらご連絡いたします。』


と伝えた後、


『大坂さんから何か質問はありますか?』


と尋ねた。


わたしもお母さんも特に質問は思い浮かばず、


『ありません。お忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました。』


と言って、わたしは頭を下げた。


担任の先生は満足そうに微笑み、


『こちらこそ、ありがとうございました。


お気をつけてお帰りください。』


と言って頭を下げ、進路指導室の扉を開けてくださった。


わたしとお母さんも立ち上がり、先生へ頭を下げて退室し、そのまま学校を後にした。


お母さんの車へ乗り込むと、わたしは大きく息を吐き、


『あーー、三十分くらいだったけど疲れたよ。』


と軽く愚痴をこぼす。


すると、お母さんは、


『亜衣ちゃん。女の子なんだから足は閉じて。』


と言いながら、わたしの太ももを軽く叩いた。


銀さんと絹さんがいつも近くにいてくれる生活に慣れ過ぎて、完全に油断していたようだ。


『ごめんなさい。』


わたしは素直に謝り、足を揃えた。



お母さんの運転で家へ向かう車内。


お母さんが静かに口を開く。


『亜衣ちゃん。


篤志さんは、あと三日で卒業。


引っ越しまでも一週間を切ったけど、分からないことや確認しておきたいことは、ちゃんと聞いている?』


わたしは少し考え、


『うーーん、どうだろう。


実際、あっくんも全部を理解してるわけじゃないし、じいちゃんもいるから問題ないかなって思ってるよ。』


と答えた後、


『急ぎじゃないけど、少し聞いておきたいことはあるから、今度聞いておこうかな。』


と言う。


お母さんは前を向いたまま、


『引っ越しちゃったら、今みたいにすぐ話せなくなるんだから、後回しにしないようにね。』


と優しく言った。


『はーーい。』


と返事をした後、わたしは銀さんと絹さんへ向き直る。


『さっき行った学校が、わたしが通っていた学校で、四月からまた通う学校になります。


これからもよろしくお願いします。』


と頭を下げる。


銀さんと絹さんは、穏やかな表情で頷いてくださった。



しばらくすると、家の近くまで戻って来る。


わたしは、


『お母さん、ここで下ろして。


わたし、お墓参りをしてから帰るから。』


と言って車を降りた。


『お母さんは先に帰っててね。


後から銀さんと絹さんと三人で帰るから。』


そう伝え、お墓へ向かう。



お墓へ着くと、いつものようにしゃがんで手を合わせようとした。


その時だった。


コホン。


絹さんの咳払いが聞こえる。


『絹さん、何かありましたか?』


と首を傾げる。


すると絹さんは、


『亜衣様。


スカートの中が見える座り方は、お控えください。』


と静かに言った。


『あ……いや……。


パンツが見えないように上へ――』


と言い掛けたところで、


『見せることはもちろんですが、見えてしまうような座り方そのものをなさらないようお願いいたします。』


と、やんわり注意されてしまった。


『はい。』


わたしは素直に返事をし、スカートを整えて、膝をそろえて座り直す。


絹さんを見る。


……今度は特に何も言われない。


わたしは、そのまま静かに手を合わせ、お墓参りを終えた。


『銀さん、絹さん。


家へ戻りましょう。』


そう伝え、三人で家へ向かった。

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