232. わたしのお付きの人探し⑪
わたしは自室へ戻ると、そのまま布団へ潜り込む。
「あー、明日も朝早いもんねー。」
『そりゃ、あっくんも早寝早起きが定着するわけだ。』
わたしは小さく独り言を漏らした。
この調子で続けていくしかないか……。
そう思いながら大きなあくびをして、ゆっくりと目を閉じた。
⸻
次の日の朝。
「うーーーん! もう朝かー。」
あっという間だなぁと思いながら起き上がる。
昨日は早く寝たせいか、お母さんに起こされることなく目が覚めた。
今日も分家の方々へ挨拶をしながら母屋へ向かう。
それから毎日、朝のお務め、写経、夕方のお務めを続ける生活を送り、二月に入った頃には、銀さんと絹さんが正式にわたしのお付きになってくれた。
その間も兄は、まり姉やありさと三人であちこちへ遊びに行き、自室には段ボール箱が積み重なっている。
どうやら引っ越しの準備も着々と進んでいるようだった。
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三月に入る少し前。
お母さんから、
『亜衣ちゃん、今日は一緒に学校へ行って先生と面談よ。』
と声を掛けられる。
『わかった! 今から着替えるね。』
わたしは制服へ着替え始めた。
普段はゆったりした服ばかり着ていたせいか、久しぶりの制服は少しきつく感じる。
あれ?
体重はほとんど変わってないはずなのに……。
着替え終わり、
『お待たせ! さあ、行こうか。』
とお母さんへ声を掛ける。
すると、お母さんは制服を見ながら微笑み、
『亜衣ちゃん、少し身長が伸びたみたいね。ちょっと制服を脱いでみて。』
と言った。
わたしは制服を脱いでお母さんへ渡す。
お母さんは裁縫箱を持って来ると、裾や袖を調整していた仮留めの糸を切り、
『亜衣ちゃん、着てみて。』
と制服を返してくれた。
『ありがと。』
再び制服へ袖を通すと、さっきよりずっと楽に着られるようになっていた。
お母さんは時計を見て、
『時間に余裕を持っていたつもりだったけど、ギリギリになっちゃったわね。』
と言う。
わたしたちは急いで玄関へ向かった。
靴を履いて外へ出ると、銀さんと絹さんが歩み寄り、
『本日もお供させていただきます。』
と頭を下げる。
わたしも笑顔で、
『銀さん、絹さん、今日もよろしくお願いします。』
と頭を下げ、お母さんの車に乗り込んだ。
⸻
わたし、お母さん、銀さん、絹さんの四人で学校へ到着する。
職員室へ向かう途中、ゆりとみほにばったり会った。
みほが目を丸くしながら、
『亜衣ちゃん、久しぶり! あんまりお見舞い行けなくてごめんね。いよいよ復学かな?』
と声を掛けてくる。
わたしは少し笑って、
『どうだろう? 多分、四月からもう一回二年生って形で復学すると思うよ。』
と答えた後、口角を上げて、
『来年度からよろしくね、みほ先輩! ゆり先輩!』
と言ってみた。
すると、ゆりが突然わたしへ近付いてきて、そのまま抱きつく。
『え……?』
わたしが驚いていると、
ゆりは安心したような声で、
『亜衣ちゃん、本当に良かった……。学校に戻って来てくれたー。』
と優しく言った。
ゆりが離れると、今度はみほが抱きついてくる。
『わっ……。』
わたしは再び驚く。
みほは少し笑いながら、
『私も亜衣ちゃんと修学旅行、行きたかったんだからね。』
と言って、わたしの頬を優しく引っ張った。
わたしは苦笑しながら、
『あはは、ご心配かけてごめんね。でも、本当に大変だったんだよ。』
と言う。
二人は声を揃えて、
『知ってるよ!』
と返した。
そして、みほは少しジト目になり、
『救急車で運ばれた、あの赤黒い物体が……亜衣ちゃんだって思った時、本当に頭が真っ白になったんだからね。』
と言ってから、ようやく手を離した。
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