227. わたしのお付きの人探し⑥
わたしは兄が部屋から出て行くのを見送った後、勉強を再開する。
お昼になり、お母さんに呼ばれて昼食を取った後、再び勉強を始めた。
しばらくすると急な睡魔に襲われ、そのまま机に突っ伏して眠ってしまった。
夢の内容はというと、一言で言えば最悪だった。
黒い服の女の人に追いかけられ、捕まり、どこかへ連れて行かれるところで目が覚めた。
『冷や汗やば……。』
と、わたしは独り言を漏らす。
兄は、お付きの人がいれば問題ないと言っていた。
今朝は銀さんと絹さんが付いてきてくれていたから、大丈夫だっただけ……。
真面目に探さないと。
わたしは立ち上がり、部屋を出る。
部屋を出ると、分家の女性たちがそれぞれの仕事をしていて、その中に春さんの姿もあった。
わたしは、
『春さん! 少しお話ししたいんですけど、都合のいい時にお時間いただけませんか?』
と声を掛けた。
春さんは少しきょとんとした表情を浮かべた後、
『亜衣様が望まれるのであれば、私はいつでも構いません。』
と答え、自分の仕事を他の人へお願いして、わたしのもとへ来てくれた。
わたしは、
『居間へ行きましょう。』
と声を掛け、春さんと一緒に居間へ向かい、向かい合って座る。
わたしは単刀直入に切り出した。
『春さん! わたし、お付きの人になってくださる方を探してるんです。でも、誰がどんな人なのか全然分からなくて……。少し相談に乗っていただけませんか?』
春さんは、明らかに困った表情を浮かべた。
すると、そのタイミングで兄が居間へ入ってきた。
兄は春さんへ頭を下げ、
『春さん、亜衣様が急に困らせるようなことを言ってしまい、申し訳ありません。』
と謝る。
続けて、
『亜衣様には私から話しますので、お仕事へ戻っていただいて構いません。』
と伝えると、
春さんは、
『ありがとうございます。』
と一礼し、足早に居間を出て行った。
わたしは、
『あ……。』
と名残惜しそうに春さんを見送った後、兄を睨みつける。
『あっくん! せっかくお付きの人を探そうとしてたのに、邪魔しないでよ!』
その時、視界にまり姉とありさが入った。
まり姉は、
『私、よく分からないんだけど、さっき三人で話してた時に、あっくんが急に亜衣ちゃんのところへ向かったから、何か良くないことがあったんだと思うよ。』
と話す。
一方のありさは、首をかしげたまま、何が起きているのか分からない様子だ。
兄は二人へ向き直り、
『まりちゃん、ありちゃん。少し亜衣ちゃんと話したいから、部屋で待っててもらっていいかな?』
と頼む。
すると、まり姉は何かを察したような表情になり、
『私たちの話は急ぎじゃないから、今日は帰るよ。』
と話し、ありさと一緒に兄の部屋へ荷物を取りに戻った。
兄はひどく名残惜しそうな表情を浮かべ、
『ごめんね。また明日ね。見送りも家まで送ることもできないけど、大丈夫かな?』
と尋ねる。
まり姉とありさは顔を見合わせて頷くと、
ありさが、
『問題ないよー。たまには歩かないと、社会人一年生なのに体力が全然ないって思われそうだからね。』
と笑顔で答えた。
二人が家を出た後、
兄はわたしへ向き直り、
『で、急に自分で調べもせず、聞きやすそうな人に何を聞こうとしてたのかな?』
と軽く眉間にしわを寄せて問いかける。
……絶対、怒ってる理由の大半は、まり姉との時間を邪魔されたからだよね。
そう思いながら、わたしは小さくため息をついた。
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