表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
221/236

219. 兄が見ている世界 —大晦日とお正月⑭—

ありさは、自分の家を通り過ぎてまり姉の家に到着したことに驚き、

『あっくん! 私の家、通り過ぎたよ!』

と兄を見る。


まり姉……いや、アホ姉は、ありさに抱きつき

『ありちゃんは、今日は私の家にお泊まりだから!』

と嬉しそうに宣言する。


兄は、

『まりちゃん、ありちゃん、車から降りようか。』

と声をかけ、三人は車を降りた。

まり姉は、ありさが逃げないようにしっかり手を握っている。


車から降りた三人に気づき、まり姉のお父さん、お母さん、そしてゆりが家から出てくる。


兄は頭を下げ、

『明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。』


と新年の挨拶をし、まり姉の家族も笑顔で挨拶を返した。


すると、アホ姉状態のまり姉が、再度ありさに抱きつき、

『今日はありちゃんがうちに泊まるのー!』

と大きな声ではしゃぎ始める。


その様子を見たまり姉のお父さんは固まり、お母さんは思わず頭を抱える。


一方のゆりは不敵な笑みを浮かべながら兄に何かを手渡し、兄も満足そうに受け取った。


わたしは、

やっぱり何か取り引きしてた!

と思う。


まり姉のお母さんが、

『まり、ありちゃんを困らせちゃ駄目よ。』

とたしなめるが、


『ありちゃんは、うちの子になるのー!』

と、まり姉は楽しそうに笑っている。


ありさは困り果てた様子で、

『まりちゃん、落ち着いてー。』

と苦笑いを浮かべていた。


兄は、その様子を見守っていたまり姉のお父さんへ、お土産を手渡す。


まり姉のお父さんは我に返り、

『ああ、わざわざありがとう。』

と笑顔で受け取った。


兄がまり姉の荷物を車から下ろし、続いてありさの荷物も降ろそうとすると、


ありさが、

『あっくん! わざと私の家を通り過ぎたでしょ!!』

と抗議する。


まり姉は首をかしげ、

『ありちゃん、大きな声出してどうしたのかなー?

オムツの時間ですかー?』

と笑顔を向け、ありさのスカートをたくし上げようとする。


ありさは慌てて、

『今日はお正月だから! 急に泊まるなんて流石に迷惑だよ!』

と説明した後、

それと、私オムツ履いてないから!ちょっと、まりちゃん!スカートたくし上げないで!パンツ見えちゃうから!!』

と叫ぶ。


まり姉は無邪気な笑顔になり、

『全然迷惑じゃないよ! 一緒に遊ぼう!』


とありさの手を引き、そのまま家の中へ向かっていく。


兄は、まり姉のお父さん、お母さん、そしてゆりへ向き直り、

『ありちゃんのこともよろしくお願いします。』

と頭を下げる。


まり姉のお母さんも、

『もちろんです。ありちゃんのお家には、こちらから連絡しますので、気をつけて帰ってね。』

と微笑んだ。


まり姉のお父さんは、

『まりは、どうしちゃったんだ?』

と心配そうにつぶやく。


ゆりはスマホで撮影しながら、

『これは保存版だね。』

と笑って、まり姉とありさの後を追いかけて行った。


兄は、

『それでは失礼します。』

と一礼し、その場を後にする。


家の中からは、ありさの叫び声が聞こえてきた。


兄はそのまま車で自宅へ戻り、着替えを洗濯かごへ入れると風呂に入り、自室へ向かう。


そこは、もうわたしの部屋だった場所だ。


兄は、ゆりから手渡された小包を開ける。


中には、まり姉のポエム集、自作の漫画、そしてラブレターの練習で書いたのであろう手紙の束が入っていた。


これまではデータだけだったが、今回は実物である。


兄は、まり姉の歌声が入った動画を再生しながら、それらを満足そうに眺め、やがてそのまま眠りについた。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ