215. 兄が見ている世界 —大晦日とお正月⑩—
兄が運転する車内。
ありさが笑顔で、
『ねー、まりちゃん。さっきコンビニで買ったもの食べよーよ!』
まり姉も、
『うん! 食べよー!』
と返しながら、レジ袋の中を確認する。
『コーヒー、お茶、おにぎり、パン、お弁当、唐揚げ、お菓子か……。悩むな〜。』
ありさは笑いながら、
『何種類かずつ買ってくれてるから、確かにどれから食べるか悩むねー。』
と言う。
まり姉は真面目な顔で、
『いやいや、家に着くまでに全部食べ切れるかどうかだよ! 残したらもったいないじゃん!』
と答えた。
ありさは少し驚いた後、
『あっくん、あんまり食べないから確かに残したらもったいないけど、悩むところそこ!?』
と笑う。
そして窓の外へ目を向け、
『お正月って車が多いイメージだけど、元旦の朝って意外と少ないんだねー。』
と呟く。
まり姉は、
『大晦日に夜遅くまで遊んで、みんな昼過ぎまで寝てたりしてねー。』
と笑い、
ありさも、
『ありえるーー!!』
と楽しそうに頷いた。
その後、
『じゃあ私、このおにぎりとパン貰うねー。』
と食べ始める。
まり姉は、
『いいよー。残りは私のねー♪』
と言って、お弁当と唐揚げを美味しそうに頬張り始めた。
わたしは、
(まり姉! まだ食べるの!? さっき出し切ったばっかりじゃん!!)
と驚く。
ありさも目を丸くし、
『いやいや、私も唐揚げ食べたいよ!!』
と笑いながら箸を伸ばした。
そんなふうにワイワイと食べていると、
兄が、
『まりちゃん、ありちゃん。〇〇神社の駐車場空いてるよ。一緒に初詣行かない?』
と声を掛ける。
二人は揃って、
『神社行く!』
と元気よく返事をした。
兄は車を駐車場へ停め、まり姉、ありさ、兄の三人は神社へ向かう。
ありさは、
『神社の門松って立派だよねー。』
と、まじまじと眺める。
まり姉は周囲を見渡しながら、
『ここの神社って、入り口から参拝するところまで結構距離あるよね。……って、出店がたくさんある! なんかお祭りみたい!』
と嬉しそうに声を弾ませた。
兄は、
『ポテトに焼き鳥、焼きそば、焼きイカもあるから、帰りに買おうか?』
と提案する。
まり姉は、
『いいの?』
と兄を見る。
兄が頷くと、
『やったー!!』
と満面の笑みを浮かべた。
わたしは、
(まり姉って、さっき車の中でお弁当二つ、パン三つ、おにぎり二つ、唐揚げ三つ食べて、お菓子までつまんでたじゃん! まだ食べられるの!? 本当にどんな構造になってるの?)
と、もはや呆れてしまった。
楽しく話しながら歩いていると、参拝所へ到着する。
三人はお賽銭を入れ、静かに手を合わせた。
参拝を終えると、おみくじを引き、それぞれお守りを購入する。
さっそく結果を確認すると、
まり姉と兄は大吉。
ありさは小吉だった。
ありさは不満そうに、
『何で私だけ大吉じゃないの?』
と肩を落とす。
まり姉は笑いながら、
『重要なのは、その内容でしょ! ちゃんと読んでみた方がいいよ。』
と宥めた。
しばらく読み進めたありさは、みるみる顔を青くする。
『ちょっと! 金運が「思わぬ出費あり。今は動かず蓄えよ」ってなってるんだけど!!
商売・事業は「利益は少なく、今は我慢の時。新規の投資や拡大は見合わせるのが賢明です」だってーー!!』
と読み上げ、がっくり肩を落とした。
まり姉は、
『ありちゃん、見せてー!』
と、おみくじを受け取る。
『なになに……「失せ物 失くした金品はすぐには出てきません。管理を徹底しましょう」……って、徹底してお金のことばっかりじゃん!』
そう言って思わず笑い出した。
ありさは頬を膨らませながら、おみくじを受け取り、境内のおみくじ結びへ丁寧に結び付ける。
そして二人へ手を差し出し、
『私の見たんだから、まりちゃんとあっくんのおみくじも見せてよ!』
と言って、兄とまり姉のおみくじを受け取った。
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