214. 兄が見ている世界 —大晦日とお正月⑨—
兄が運転し、まり姉とありさは後部座席で楽しそうにじゃれ合っていた。
時折、ありさが
『まりちゃん! や……そこは、ダメ……。』
と困ったような声を上げる。
すると、まり姉は
『ありちゃん、柔らかくて気持ちいいー。』
と、楽しそうに笑っている。
しばらく車を走らせていると、
ありさが
『痛っ!!』
と声を上げ、
『まりちゃん?』
と、まり姉を見る。
まり姉は冷や汗を浮かべながら、
『お腹痛い……。トイレ……。』
と苦しそうにつぶやいた。
ありさは頬を膨らませ、
『急にお腹が痛くなったのは仕方ないけど、急につねらないでよ。痛くてちぎれちゃうかと思ったよ……。』
と、少し悲しそうに言う。
兄は近くのコンビニへ車を入れると、まり姉は一目散にトイレへ駆け込んだ。
兄はありさの方を見て、
『ありちゃん、大丈夫だった? すごく大きな悲鳴だったけど。』
と声を掛ける。
ありさは自分の服の中を少し覗き込み、
『少し赤くなってるけど、大丈夫。』
と、ほっとしたようにため息をついた。
兄もトイレを済ませると、ありさに向かって、
『まりちゃん、スッキリしたらまた食べるだろうし、何か買っておこうか。』
と言い、おにぎりやお弁当、パンを買い物カゴへ入れていく。
ありさは、
『私も買っていい?』
と尋ねる。
兄は笑顔で、
『もちろん。俺は運転があるし、まりちゃんの相手はありちゃんに任せるしかないからね。好きな物を選んでいいよ。』
と言う。
ありさは少し複雑そうな表情を浮かべながらも、
『わかったよー。』
と言って、お菓子や自分が食べたい物を買い物カゴへ入れていった。
しばらくすると、まり姉が晴れやかな表情で戻ってきた。
『スッキリしたー!』
ありさはまり姉のお腹を軽く触りながら、
『いつもの引き締まったお腹だー。本当どうなってるんだろう? トイレ、詰まってないよね?』
と冗談交じりに言う。
まり姉はジト目になって、
『当たり前でしょ!』
と即座に返した。
ありさは、
『私もトイレ行ってくるねー。』
と言って、トイレへ向かった。
その間に兄は、
『まりちゃん、さっきありちゃんを思いっきりつねっちゃったんだから、ちゃんと謝らないとね。』
と優しく諭す。
まり姉は素直に、
『はい。ごめんなさい。』
と反省した様子で答えた。
兄は、
『他に必要な物がなければ、レジに行くけど大丈夫?』
と尋ねる。
まり姉は笑顔で、
『大丈夫だよ! ありがと!』
と答える。
支払いを済ませると、トイレから戻ってきたありさと合流し、
まり姉、ありさ、兄の三人は、車に乗り込む。
まり姉が、ありさに頭を下げ、
『ありちゃん、さっき思いっきりつねっちゃって、ごめんなさい。』と謝罪する。
ありさは、『本当に注意してよね!取れちゃうかと思ったんだからね!』と軽くため息をつき、『私の柔肌が、少し赤くなってるんだから。』と言う。
まり姉が、ありさの服を覗き込み、痛そうな顔をして、再び頭を下げ『ごめんなさい。』と謝罪する。
ありさは、軽くため息を付き、『次から気をつけてね!』と言った後、『次は私の番だから!』と言い、まり姉もありさの絡みは、まだまだ続くようだ。
兄は2人の様子を微笑ましく見て確認すると、車のエンジンを始動させ、改めて地元へ向けて出発した。
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