表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
215/237

213. 兄が見ている世界 —大晦日とお正月⑧—

食事スペースに到着すると、


ありさが、

『おー、晩ご飯もすごかったけど、朝ご飯もいろいろあるねー。お正月だから、お雑煮もあるよ!』

とワクワクした声を上げる。


『さあ、まりちゃん、行くよ!』


そう言って、まり姉の手を引きながら料理を取りに向かった。


兄は、お雑煮を取った後、数種類のスープを少しずつよそって席に着く。


まり姉は知っていたが、ありさも朝からしっかり食べられるタイプのようだ。


オムレツ、フレンチトースト、生ハム、ボイルウインナー、ハッシュドポテト、サラダ、フルーツ。


大きなお皿いっぱいに料理を盛り付けて戻ってきた。


まり姉も、モグモグと幸せそうに食べている。


自分のお皿が空になると、ありさのお皿からも少しずつ料理をもらい始めた。


ありさは苦笑いしながら、


『まりちゃん、今日はあんまり食べちゃダメ! 私の被害が想像以上に多いんだから。』


と切実な口調で訴える。


兄は、


『せっかくたくさん食べられるんだから、遠慮せず食べてよ。』


そう言って、オムレツとフレンチトーストをそれぞれ五つずつ、まり姉の前へ並べた。


まり姉は、


『あっくん、ありがとー。』


と嬉しそうに食べ始める。


ありさは、


『あっくーん!』


と兄をじっと見る。


兄は苦笑いを浮かべながら、


『今日はあと帰るだけだし、お昼も寄れないかもしれないから、食べられる時に食べておいてほしいんだよ。』


と答える。


ありさは、


『お昼抜きになるかもしれないなら仕方ないけどさー。』


と少し不満そうだ。


兄は、


『ありちゃんもたくさん食べてよ。足りなかったら取りに行ってくるよ。』


と声を掛ける。


ありさは首を横に振り、


『私は自分で取りに行けるから、まりちゃんに専念してあげてよ。もうすぐ食べ終わるよ!』


と笑う。


兄は驚いた表情になり、慌てて追加の料理や飲み物を取りに行き、まり姉の前へ運んだ。


まり姉の食欲は衰えることなく、次々と料理を平らげていく。


兄はスマホを向けて動画を撮り始めると、再び料理を取りに向かった。


今度は少量ずつ何種類も持ってくるのではなく、一品を多めに盛って持ってくる作戦へ切り替えたようだ。


ありさは、


『まりちゃん、すごすぎだよ~。こんなに食べて、何で太らないんだよ~。』


と感心したように見つめる。


続けて、


『食べた直後はお腹パンパンでカチカチなのに、一回トイレへ行くと、いつものまりちゃんに戻ってるんだもん。不思議でしょうがないよ。』

『トイレでどんだけ出してて、よくトイレが詰まらないものだと感心するよ。』

としみじみ呟いた後、『きゃ!』と小さく悲鳴を上げる。


まり姉は照れ笑いを浮かべ、

『そんなに見られると恥ずかしいよー。後、食事中にそんな事言ったらダメだよ!』

と言いながら、ありさの胸を鷲掴みにする。


ありさが、慌てて『ごめんなさい!食事中には言わないから。』と言い、鷲掴んでいるまり姉の手を優しく叩く。


まり姉は、ありさの胸から手を離し、また料理へ手を伸ばす。


わたしは、

(そろそろ誰か止めてやれよ。昨日の晩ご飯からずっとアホ姉継続中だぞ。帰りの車まで、このままじゃないか……。)

と思った。

(もしかして、ゆりと兄の取り引きだったりして……。)

そんな考えが一瞬頭をよぎったが、

(いや、まさかな。)

とすぐに打ち消した。


兄はとっくに食事を終え、ありさも食べ終わっている。


あとは、まり姉の食事が終わるのを待つだけだった。


しばらくして、

『まだまだ食べられるのに、お腹がカチカチでこれ以上入らないよー。』


と名残惜しそうに笑い、ようやく朝食は終了した。


食事を終えると部屋へ戻り、身支度を済ませてチェックアウトのためフロントへ向かう。


すると、お土産売り場が目に入った。


兄は、

『まりちゃん、ご両親とゆりちゃんにお土産買おうか?』

と声を掛ける。


まり姉は、

『うん! ありがと。』

と嬉しそうに笑った。


一方のありさは、財布とお土産を見比べながら悩んでいる。


兄は、

『ありちゃんのご両親にも、俺から一つ買うよ。帰りもまりちゃんの相手をお願いすることになるし。』

と笑う。


ありさは、

『あっくん、ありがと。……え? 帰りもこのアホの相手するの?』

と驚いた表情になる。


まり姉は、


『アホでごめんねー。』


と照れくさそうに笑い、ありさの胸を鷲掴む。


ありさも思わず、

『ごめん、ごめん。帰りもまりちゃんと一緒、楽しみだなー。』

と肩をすくめた。


お土産を購入し、チェックアウトを済ませると、三人はじいちゃんの車へ乗り込む。


兄がエンジンをかけ、楽しかったホテルを後にした。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ