211. 兄が見ている世界 —大晦日とお正月⑥—
部屋に戻ると、ありさが
『あー、食べた食べたー。』
と満足そうにお腹を撫でる。
まり姉は案の定アホになっており、兄を自分のところへ引っ張ると、
『ほらー、たくさん食べてお腹カッチカチー。』
と兄の手を自分のお腹へ当てさせる。
ありさも便乗してまり姉のお腹を触ろうとすると、まり姉はありさの胸を揉みながら、
『ありちゃんー、ほんと大きくなったよねー。』
と満足そうな表情を浮かべる。
ありさは、
『わっ! ビックリするから、せめて一言言ってよ!』
と、まり姉に背を向ける。
しかし、まり姉は今度はありさのお尻へ視線を移し、
『こっちもしっかりして、良いお尻に育ってるし。』
と言うと、ありさのスカートをめくり、お尻をまじまじと眺め始めた。
ありさは、
『あー、こら! まりちゃん!!』
と慌てるが、まり姉の悪気のない表情を見ると諦めたようにため息をつき、
『この状態にしたの私だからなー。』
と呟きながら隣へ座る。
結局そのまま、まり姉の好き放題にされる中、兄は風呂の準備を進めていた。
兄が二人へ視線を向け、
『そろそろ、お風呂に行こうか?』
と声を掛ける。
ありさは完全に無抵抗となり、まり姉にもみくちゃにされたまま、太ももの上へ頭を乗せられ、体のあちこちを撫で回されていた。
まり姉は元気よく、
『うん!』
と返事をすると、そのままありさの服を脱がそうとする。
ありさは慌てて離れ、
『ここじゃないから! ここで脱いで入浴場所まで行ったら、風邪ひく前に捕まっちゃうから!』
と抗議する。
まり姉から逃れると、
『ふう……。』
と一息ついた。
兄は笑いながらまり姉へ手を差し出し、
『まりちゃんも行こうか。』
三人は手を繋ぎ、ホテルを出て入浴施設へ向かう。
歩きながら兄はありさの肩に手を置き、
『まりちゃんのこと、よろしくね。』
とお願いする。
ありさは肩を落としながら、
『自信ないけど、精一杯最善を尽くします。』
と苦笑いを浮かべた。
入浴施設へ到着すると、兄は待ち合わせ場所を指差し、
『お風呂から上がったら、ここに集合ね。時間は四十五分から一時間後くらいかな。』
と二人へ伝える。
ありさは頭を抱え、
『今から一時間、アホになったまりちゃんの面倒を一人で見るのかー。』
とぼやく。
その横では、まり姉がありさの腕へしがみつき、体のあちこちを触り続けていた。
兄は苦笑しながら、
『トイレに行くまでの辛抱でしょ。出すもの出したら、いつものまりちゃんだから。』
と言って男湯へ向かう。
ありさは、
『それまでが長いんだってー。』
と諦めたようにまり姉を見つめ、そのまま女湯へ入っていった。
⸻
男湯へ入った兄は、体を洗った後、いろいろなお風呂やサウナを巡り、入浴施設を満喫する。
時計を見ると、すでに四十五分が経っていた。
兄はもう一度体を流し、軽く湯船に浸かる。
その後、髪を乾かして着替えを済ませ、待ち合わせ場所へ向かった。
すると、まり姉とありさはすでに到着しており、水を飲みながら待っていた。
ありさは兄を見るなり、
『あっくん遅いよー。この状態のまりちゃんを私一人に任せて、温泉を満喫するなんてー。』
と涙目になる。
兄が二人を見ると、ちゃんとパジャマへ着替え、髪も乾かしていた。
特にありさの顔が赤いのは、まり姉につままれたり触られたりしていたせいなのだろう。
今は、お腹をつままれている。
兄は苦笑しながら、
『まりちゃん、ありちゃん、お待たせ。ホテルへ戻ろうか。』
と声を掛ける。
まり姉はありさの胸を掴んだまま、
『はーい。』
と元気よく返事をする。
ありさは、
『ここ、人前で触らないでよー。』
と困り顔になった後、
『やっと戻れるよー。』
と疲れ切った様子で歩き出した。
ありさは、まり姉にしがみつかれて歩きにくそうにしている。
しかし、まり姉はそんなことには一切気付かず、
『あっくん! ありちゃんのここ、触ったらめっちゃ気持ちいいよ!』
と大興奮。
ありさは、
『こら! まりちゃん、変な所触らないでよ〜。』
と、すっかり疲れた表情で注意する。
兄はそんな二人を楽しそうに眺めると、スマホでパシャリと一枚撮影する。
こうして、まり姉、ありさ、兄の三人は、笑い声を響かせながらホテルの部屋へ戻っていった。
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