210. 兄が見ている世界 —大晦日とお正月⑤—
しばらくすると、まり姉とありさが盛り付けた料理が、テーブルいっぱいに並んだ。
二人も席に着き、兄を含めた三人で乾杯をする。
ありさがグラスを持ち上げ、
『今日、私も連れてきてくれてありがとね。まりちゃん、あっくん、これからも三人ずーっと一緒にいようね。乾杯!』
と笑顔を向ける。
まり姉と兄も、
『乾杯!』
と応え、グラスを軽く合わせた。
まり姉とありさは、モリモリと美味しそうに料理を頬張る。
そんな二人の食べっぷりを、兄は幸せそうに眺めながら、
『まりちゃんもありちゃんも、美味しそうに食べてくれて嬉しいよ。』
と微笑む。
ありさは上機嫌で、
『ふふーん! めーっちゃ、おいしー。最高だよ!』
と夢中で食べ続けた。
しばらくすると、まり姉がデザートを手に取り、
『私は今日、このくらいにしておこうかな〜。』
と呟く。
すると、ありさは笑いながら、
『まりちゃん、可愛い子ぶらなくて大丈夫だよー。私もあっくんも、アホになったまりちゃん知ってるんだから、遠慮する必要ないって!』
とからかう。
まり姉はため息をつき、
『最近、お母さんとゆりに、この情報が筒抜けなんだよね。』
と軽く兄を睨んだ。
それを見たありさがニヤリと笑う。
『あらら、あっくん。まりちゃんのお母さんと妹ちゃんに情報リークしてたんだ。』
さらに兄の顔をじっと見つめ、
『あっくんのことだから、何か代わりの情報を貰ってるんでしょ?』
と探る。
兄は満足そうに頷く。
『まあねー。』
ありさはスプーンをくわえたまま首を傾げ、
『そんなに良い条件だったんだ〜。ねえ、どんな物を貰ったのか教えてよ。』
と可愛くお願いする。
兄は少し考え込み、
『んー、条件次第ならいいけど、無条件ではなぁ。』
と笑う。
すると、ありさは目を輝かせ、
『私にも交渉材料あるんだから!! 後で交渉しようよ!』
と乗り気になる。
まり姉は不思議そうな顔で、
『ありちゃん、ちょっと待って。何で交渉しようとしてるの?』
と尋ねる。
ありさは悪い笑みを浮かべ、
『えへへー。何だろうね。』
とはぐらかした後、
『だから、まりちゃん、いっぱい食べよーよ。』
とジェラートをスプーンですくい、まり姉の口へ運ぶ。
まり姉はジェラートを食べながら、
『たくさん食べたら、変な取り引きしない。』
とありさを見つめる。
ありさは肩をすくめ、
『私だけたくさん食べるのは何か恥ずかしいから、まりちゃんもいっぱい食べてくれるならねー。』
と笑う。
結局、二人はこれでもかというほど料理やデザートを平らげ、兄もその様子を嬉しそうに眺めながら、三人は仲良くホテルの部屋へ戻った。
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